『キャッシュレス』化で期待されるメリットとは?

2018/10/26

『キャッシュレス』化で期待されるメリットとは?

経済産業省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」によると、日本の『キャッシュレス』決済比率(年間決済金額の比率、2015年時点)は、18.4%と2割に満たない状況です。一方世界をみると、韓国は89.1%でトップ、中国は60.0%、カナダやイギリスなどでは50%超となっています。日本政府は、2020年の東京五輪を視野に『キャッシュレス』化を推進しており、2027年までに『キャッシュレス』比率を4割程度にすることを目標としています。

【ポイント1】外国人観光客が『キャッシュレス』決済できずに困ることも・・・

『キャッシュレス』では、インバウンド消費の取り込みだけでなく様々な効果が期待できる

■世界的に『キャッシュレス』化が進む中、日本では外国人観光客が『キャッシュレス』決済を出来ずに困るケースも多く聞かれるようになりました。政府は、外国人観光客の誘致によるインバウンド消費を取り込むことだけでなく、実店舗での無人化省力化や不透明な現金資産の見える化、さらには支払いデータの利活用による消費の利便性向上や消費の活性化などを狙いとして、今後『キャッシュレス』化を推進していくと見込まれます。

【ポイント2】日本では『キャッシュレス』決済が浸透しない?!

『キャッシュレス』化で従来の現金決済のデメリットが解消できる?

■日本では、クレジットカードや電子マネー等のカードの1人当たり保有枚数(2015年時点)が7.7枚と、世界ではシンガポールに次ぐ多さとなっています。一方で、こうしたカード類による民間最終消費支出に占める割合は2割以下と、実際にはあまり使われていません。こうした点からも日本は現金主義と見ることができます。また、銀行等のATMが街の至る所にあって、現金の引き出しが容易な環境にあります。

■しかし、現金決済では、会計時やレジを締める時に人手や時間がかかる上、計上をミスするリスクがあるほか、日本は治安が良いものの現金を持ち歩くことで盗難などの紛失のリスクがあります。一方、『キャッシュレス』決済では、専用機器の導入や決済手数料の必要がありますが、最近ではクレジッドカートに比べてこれらのコストが抑えられるQRコードを使った決済などが注目されてきています。

181026MK

【今後の展開】『キャッシュレス』によるメリットをどれくらい感じられるかが浸透の鍵

■今後、日本でも『キャッシュレス』化が進んでいくかどうかは、『キャッシュレス』化によるメリットをどれくらい感じられるかが重要なポイントとなりそうです。例えば支払う側から見ると、現状すでにある、電子マネーを使うことでポイントが付与されるシステムは魅力的で、利用者も増加しています。来年10月には、10%への消費増税がほぼ確実となっていますが、政府はその際発行が見込まれるプレミアム商品券をマイナンバーカードで貯められるポイント制度で発行した場合に、紙の商品券よりも上乗せ額を優遇する策などを検討しています。今後は政府の積極的な後押しにより日本でも『キャッシュレス』化が進展すると期待されます。

(2018年10月26日)

印刷用PDFはこちら↓

『キャッシュレス』化で期待されるメリットとは?

関連マーケットレポート

2018年10月25日 注目される『就活ルール』の行方

2018年 9月21日 免税手続きの電子化は『インバウンド消費』にプラス?

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ