トランプ米大統領、いよいよ『NAFTA』再交渉へ
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北米自由貿易協定(North American Free Trade Agreement:『NAFTA』)は、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコの3カ国間の自由貿易協定です。1992年12月に調印され、各国での批准を経て94年1月に発効しました。関税の撤廃・引き下げ、金融サービス市場の開放、投資の自由化等を内容としています。米国第一主義を唱えるトランプ大統領は、貿易収支の改善等を目的に『NAFTA』再交渉に取り組んでいます。 |
【ポイント1】8月中旬に『NAFTA』再交渉の1回目会合を開催へ
米国の貿易赤字縮小とカナダ、メキシコ市場へのアクセス改善を目指す
■17年7月19日に米国の通商代表部(USTR)は、同年5月18日に表明していた『NAFTA』再交渉の1回目の会合を本年8月16~20日の間、米国の首都ワシントンで開催すると発表しました。
■再交渉の日程発表に先立つ7月17日に、USTRは再交渉の目標として22の項目を発表しました。それに際してUSTRは、再交渉を通じてトランプ政権は貿易赤字を縮小し、カナダおよびメキシコ市場へのアクセスを改善することにより、すべての米国人にとって公正な協定内容にすると述べています。
【ポイント2】米貿易赤字改善を目指す
22項目に及ぶ再交渉の目的
■USTRが再交渉の目的として挙げた22の項目のうち主要なものは、①財の貿易、②衛生植物検疫、③税関、貿易促進、原産地規則(貿易商品の原産地が何処なのかを認定するための規制)、④貿易の技術的障壁、⑤規制、⑥通信・金融を含むサービス貿易、⑦物品・サービスのデジタル貿易および国境を超えるデータ送信、⑧投資、⑨知的財産、⑩労働力、⑪透明性、⑫為替、等です。
■特に注目されるのは、①の財の貿易の項の冒頭に、「米国の貿易収支を改善し、『NAFTA』域内国との貿易赤字を削減する」と明記したことです。トランプ大統領の貿易不均衡に対する姿勢が色濃く反映されているといえます。
【今後の展開】特恵関税の維持は朗報、望まれる早期の交渉成立
■再交渉の目的に、トランプ大統領が当初、主張していた関税の引き上げや、輸出入に関わる税制の見直し等は盛り込まれず、特恵関税(無税)維持の方針が明記されたことは前向きに評価できます。
■18年は7月にメキシコで大統領・連邦議会選挙、11月に米国で中間選挙が実施される予定です。『NAFTA』の再交渉が政争の具とならないためにも、早期の交渉成立が望まれるところです。
(2017年 8月 16日)
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