インドの成長と『モンスーン』の深い関係
<今日のキーワード>インドの成長と『モンスーン』の深い関係
『モンスーン』とは、夏季の南西風がもたらす雨季のことです。インドでは、『モンスーン』の期間である6月から9月の降雨量が年間降雨量の70%以上を占めます。インドは農村人口が多いため、農産物の生産を左右する『モンスーン』の降雨状況は、経済活動や物価に大きな影響を与えます。このため、金融市場では 『モンスーン』の降雨予報と実際の降雨量に注目が集まります。 |
【ポイント1】6月の降雨量は順調
今年の『モンスーン』 の降雨量は、平年並みの予想
■IMD(インド気象庁)は22日、直近の降雨状況を発表しました。6月第3週(6月15日~21日)の降雨量は、過去の長期平均を11%下回りました。ただし、6月第1週からの累積ベースでは、長期平均を4%上回っており、今のところ降雨量は順調です。
■IMDは、異常気象を引き起こすとされる「エルニーニョ現象」が弱まる可能性を指摘し、今年の『モンスーン』(6月~9月)の降雨量を、「平年並み(過去50年の平均に対し98%)」と予想しています。
【ポイント2】予報通りなら順調な経済成長
食品のインフレ抑制
■IMDの予報通りであれば、インドは2年連続で天候に恵まれ、順調な経済成長が期待できます。『モンスーン』に十分な降雨があれば、農産物の生産増で農村部の所得が上昇し消費が上向くほか、食品のインフレ抑制などのプラス効果が見込まれるためです。
■インドでは14年、15年の『モンスーン』の降雨量が平年を大きく下回り、多くの州が干ばつに見舞われました。
【今後の展開】7月の降雨量に注目!
■インド準備銀行(中央銀行、以下RBI)は6月7日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を据え置く一方、インフレ率の見通しを下方修正しました。MPC議事録によれば、金融システムの過剰流動性に対する懸念の緩和や、17年1-3月期の成長率鈍化を受けて、MPC全体のトーンはややハト派方向に傾いたと見られます。 『モンスーン』の降雨量不足などでインフレ圧力が高まらなければ、RBIは現状の金融政策を維持すると見られます。
■インド株式市場では、今年の『モンスーン』の降雨量が平年並みになるとの予報が買い材料となりました。ただし、天気予報は外れることがあるほか、7月の降雨量が農産物生産と食品のインフレ率に与える影響が大きいとされます。今後も『モンスーン』から目が離せません。
(2017年 6月 28日)
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