日本の株式相場を考える(2016年11月)「トランプ大統領」確定から一夜明けて

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【ポイント1】日本株は下落も米株は上昇

米金融市場は政策を期待

■8日の米大統領・議会選挙はトランプ氏、共和党の勝利となりました。9日の日本の金融市場は、通商や移民政策等について過激な発言を行っていたトランプ氏勝利を懸念し、大幅な円高、株安となりました。

■その後の米国金融市場では、トランプ氏勝利に加え、共和党が上下院を制したため、減税やインフラ支出を通じた景気刺激策や規制緩和などが期待できる点を評価して株高、ドル高、債券安の展開となりました。

 

【ポイント2】日本株は下落を取り戻す動き

トランプ・リスクの負の側面は織り込み

■昨晩の米国株式市場の動きを受け、10日の日経平均株価は大きく反発し、前日比1,092円高の17,344円で引けました。ドル円相場は円高ドル安の巻き戻しが進み、午後3時現在、1ドル105.38円水準での推移となっています。

■トランプ氏が通商や移民政策等について極端な発言を行う可能性はありますが、経済政策によって米国の景気拡大が力強さを増せば、日本株にとって追い風となります。昨日の下落はトランプ・リスクの負の側面をまずは織り込んだとも考えられます。

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【今後の展開】不確実性は高まるが緩やかな上昇傾向継続へ

■トランプ大統領の誕生により日本にとっては安全保障や通商面で不確実性が高まると考えられます。例えば、環太平洋経済連携協定(TPP)の発効は難しくなり、防衛費の積み増しを迫られる可能性があります。ただし、日本経済にとっては、それらの点は大きな重しになるとは考えにくく、国際的な金融市場の大きな動揺の可能性を除いては、直接的に打撃を受ける要因は多くないと考えられます。

■来年に入りトランプ政権発足後の経済政策によって米国景気が活発化したり、規制緩和が進めば、企業業績にとって好材料となりますし、日本株式にもプラスと考えられます。新しいタイプの大統領だけに、不透明感はぬぐいきれず、相場が不安定化する局面が生じる可能性がありますが、日本株式は今後の企業業績の回復を反映する形で、緩やかな上昇傾向をたどると見られます。

(2016年11月10日)

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