「金」価格の動向(グローバル)
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「金」はその光輝く性質と希少性から、古くから通貨や宝飾品として使用されてきました。また、金属として展性と延性に富むうえ、電気抵抗や熱伝導性も優れており、ICチップの配線などに使用されています。「金」の鉱山からの産出は年間3,000トン強程度ですが、過去に産出された推定18万トン強が個人や中央銀行に退蔵されており、毎年1,000~1,700トンが価格にもよりますがスクラップとして供給されます。 |
【ポイント1】「金」価格の変動要因
近年はドルと逆相関の関係が顕著
■「金」価格の変動要因には様々なものがありますが、最も関連性が高いと思われるのがドルです。下図に見るように金価格とドルは、長期トレンドでは逆相関の関係が見てとれます。世界の基軸通貨である米ドルが安くなれば、投資家はヘッジ先として他の通貨や資産を探すことになりますが、その一つが「金」というわけです。
■このため「金」価格は、ドルの価値に影響を与える、米国の金利、物価、景気動向などに影響をうけます。これ以外に、地政学的リスクに対しては、「有事の金」として、リスク回避の手段に利用されたりもします。
【ポイント2】需給バランスも重要
生産量は増加傾向
■「金」の需給バランスも重要な価格決定要因です。「金」の生産量は、かつては最大の生産国であった南アフリカが採掘条件の悪化で減少傾向にありますが、中国、ロシア、豪州、カナダなどの増産により、過去10年で20%以上増加しています。他の金属や資源に比べ産出地域が分散しているのが特徴です。
■一方、「金」の需要は50%が宝飾品、次いで個人の退蔵用に地金やコインとして約25%、エレクトロニクスなど工業用途に消費されるのは約10%程度です。この他には、中央銀行や金ETFに係る在庫増減などが需給に大きく影響します。
【今後の展開】2016年に入り「金」価格は反転
■ドル安、信用リスクが背景
2013年以降ドル高の進行に伴い「金」価格は下落傾向でしたが、今年に入り上昇に転じています。ドル安に加え、世界的な株価の下落から信用リスクが意識され、安全資産としての「金」への選好がうかがえます。
■GFMS社は「金」価格に強気
「金」の調査報告で権威のあるトムソン・ロイターGFMS社は、米国の金利上昇観測が遠のいていること、中国の経済成長や人民元安への懸念から、今年の「金」価格は1,200ドル超に回復するとの予想を公表しています。
(2016年2月25日)
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