資源価格の動向~市況回復には時間を要する~

資源価格の動向~市況回復には時間を要する~

【ポイント1】原油、非鉄など軒並み下落

リーマンショック後の最安値に迫る
■資源価格の下落が続いています。11日の原油価格(WTI)は、1バレル当り42.9ドル、同じく銅価格(LME)は、1トン当たり4,925.5ドルと、リーマン・ショック後の安値に近づきつつあります。

■石油製品、非鉄金属、農産物などで構成される「トムソン・ロイター・コモディティーCRB指数」の11日の終値は、188.3ポイントと今年8月に更新したリーマン・ショック後の最安値に再び近づいています。

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【ポイント2】中国懸念と需給悪化が背景

減産には時間がかかる
■資源価格低迷の背景としては、中国の景気減速が大きいと思われます。銅地金を例にとれば、中国の消費量は、世界の約半分に達します。その他の資源も、そのほとんどで足元の需給が悪化しています。

■需給には資源事業特有の事情が関係しています。鉱山、油田などは開発に巨額の資金が必要ですが、生産などの操業を続けるコストは、それに比べて大きくありません。このため資源企業は、現金の収支が採算割れしない限り生産を続け、むしろ資源価格下落による収入減を生産増加で補おうとします。この結果、一部の低収益の鉱山の操業が停止するまで減産に至らないことになります。

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【今後の展開】市況反発は需要の回復待ち、原油の回復が比較的早そう

■原油に関しては、生産の先行指標となる掘削施設(リグ)稼働数が、米国では昨年末の1,600基以上から足元では600基以下にまで減少しています。生産コストの高いシェールオイルの稼働が停止しているためです。このため、原油市況は供給削減が進行し比較的早く回復する可能性があります。

■銅などの非鉄金属、鉄鉱石、石炭などに関しては、原油ほど減産が進みにくいと考えられるため、需給改善は主として中国の需要回復待ちとなる見込みです。米国の利上げによりドル高が進む場合は、資源国通貨と資源価格を抑える要因となり、この点も市況回復を遅らせる要因になりそうです。

(2015年11月12日) 

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