「郵政3社」の上場について(日本)

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11月4日に「郵政3社」の株式上場が予定されています。ゆうちょ銀行、かんぽ生命、そしてこれら2社の親会社にあたる日本郵政です。上場前の株式売り出しにより約1.4兆円の資金を集めるうえ、3社それぞれの時価総額は6.5兆円、1.3兆円、6.3兆円程度と推定され、1987年のNTT以来の大型上場です。配当利回りが相対的に高く、上場前の売り出しへの申し込みが多かったこともあり、株式市場では大きな話題となっています。

【ポイント1】上場で得られる資金は震災復興財源へ

ゆうちょ銀行、かんぽ生命、持ち株会社の日本郵政が上場

■日本郵政は、旧来の郵便局を継承する持ち株会社で、傘下に郵便貯金業務のゆうちょ銀行、生命保険業務のかんぽ生命、郵便事業を行う日本郵便の3社を有します。日本郵便は全国の郵便局を持ち、ゆうちょ銀行、かんぽ生命から業務の委託を受ける事業形態となっています。

 ■今回の株式公開に、日本郵便は加わっていません。また、日本郵政の株式売り出しにより、政府は売却益を得ますが、それらは東日本大震災の復興財源に充てられる予定です。

【ポイント2】収益性は低いが配当利回りは高い

親子上場の問題は残る
■事業会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命の収益性をROE(株主資本利益率)でみると、同業他社との比較では低くなっています。事業に種々の規制があるうえ、全国津々浦々に配置されている郵便局のコスト負担(業務委託費として支払う)が理由です。この点について、親子間の利益移転の問題を指摘する見方もあります。

■売り出し価格からみた配当利回りは、ゆうちょ銀行が3.4%、かんぽ生命が2.5%、日本郵政が3.3%と比較的高く、配当の安定性を加味すると妙味のある水準といえます。

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【今後の展開】今後の売り出し、事業規制緩和に注意

■最終的な郵政3社の持ち株比率は?
持ち株会社の日本郵政について、現在100%を保有している政府の持ち株比率は33%超を残して売却の方針です。現在日本郵政が100%保有するゆうちょ銀行、かんぽ生命の持ち株は段階的に50%程度まで売却される方針です。

 ■金融2社の成長性は?
現状では、ゆうちょ銀行が貸付業務を許可されていないなど、種々の事業規制が課せられています。上場を契機に、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の事業規制緩和が長期的には予想されるうえ、合理化による収益力向上が期待されます。

(2015年10月27日)

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