「官民連携(PPP)」が景気の鍵(中国)

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「官民連携(Public-Private Partnership、以下PPP)」は、公共サービスの提供に民間が参画する手法のことを広く指す概念です。中国では、鉄道、道路、電気・ガスの供給などの、市場原理の活用に適した分野で、収益やリスクを官民で分担する仕組みを指します。中国政府は、今年の9月時点で、約2.6兆元(約50兆円)のプロジェクトを承認しています。

【ポイント1】「PPP」は、官民でリスクと収益を分担する仕組み

地方政府は債務を負担せず
■典型的な「PPP」方式によるインフラ整備事業を、地下鉄建設を例に説明します。まず母体となる民間企業体を設立します。地方政府などが出資する場合もあります。この民間企業体が借入などにより資金を調達して地下鉄を建設し、完成後20年~50年運営します。地下鉄の運賃収入により建設時に借り入れた債務を返済し、完済後は地下鉄の運営権などを地方政府などに引き渡し、民間企業体は解散します。
■地方政府などは債務を負担せずに、インフラを整備できるメリットがあります。ただし、地方政府などは許認可などの行政上の優遇を民間企業体に与えるため、プロセスの公平性や透明性が求められます。

【ポイント2】インフラ整備加速を目指す

資金調達がハードル
■中国政府は今年5月、約1,000件(総投資額2兆元弱)の「PPP」プロジェクトを承認し、この9月には約200件(同約6,600億元)のプロジェクトを追加承認し、「PPP」によるインフラ整備加速を目指しています。
■一方、 「PPP」への融資に金融機関が消極的なことが、その普及を阻んでいると言われています。そのため政府は9月に、「PPP」プロジェクトのスムーズな立ち上げを狙い、1,800億元の「官民融資ファンド」の設立を決めました。

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【今後の展開】インフラ整備にも、効率性重視の方針

景気対策を「PPP」で行う政府方針
「PPP」によるインフラ整備拡大は、景気対策の意図もあると見られます。8月に政府は大型建設投資の加速を決め、なかでも、市場原理が働く「PPP」推進強化の方針を打ち出しています。

次期5カ年計画でも、「PPP」がキーワード
来年からスタートする次期5カ年計画では、「PPP」を重視したインフラ整備方針が含まれると見込まれます。安定成長の継続のため、効率性重視の方針は今後も継続されると見込まれます。

(2015年10月7日)

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