豪中銀は国債の利回り目標を廃止 金融緩和からの脱却本格化が豪ドルの上昇要因に

豪中銀は国債の利回り目標を廃止

金融緩和からの脱却本格化が豪ドルの上昇要因に

【ポイント1】国債の利回り目標を廃止
政策金利、国債買入れ額を維持

■豪州準備銀行(RBA)は11月2日の金融政策決定会合で、翌日物金利を0.1%に据え置きました。

■国債買入れプログラムについても、これまで通り週40億豪ドルの買入れを少なくとも2022年2月中旬まで続ける方針が維持されています。

■しかし、これまで0.1%に設定していた2024年4月に償還される国債利回りの目標を廃止すると表明しました。

 

【ポイント2】利上げ時期も前倒しの可能性
金利を2024年まで据え置く文言も声明文から削除

■声明文では、「実際のインフレ率が2~3%の目標範囲内に持続的に収まるまで翌日物金利を引き上げない」という文言は維持されたものの、「2024年までにこうした状況になるとは予想していない」という文言は削除されました。

■RBAのロウ総裁は会合後の記者会見で、「2023年に政策金利が引き上げられる可能性もある」と述べ、利上げ時期が前倒しされる可能性を示唆しています。

【今後の展開】金融緩和からの脱却本格化が豪ドルの上昇要因に

■今回の決定を受けて11月2日の為替市場で豪ドルは米ドル、円に対してともに下落しました。これまで国債利回り目標の対象だった2024年4月償還国債の金利が上昇していたにもかかわらずRBAは買入れを行わなかったことから、目標の廃止は事前に市場に織り込まれていました。ただ、RBAの金融緩和からの脱却姿勢を受けて、豪ドルはこのところ他通貨に対して上昇傾向が続いています。

■新型コロナウイルスの感染者は豪州各地でこれまでと比べて高水準が続いていますが、ワクチン接種が進展していることを受けてロックダウンの解除や海外渡航の再開が進められています。豪州政府はコロナとの共存に舵を切っており、今後も行動制限は徐々に緩められると想定されます。今後も労働市場や物価に加え、感染動向や経済活動再開ペースなどにも注目が集まります。

(2021年11月4日)

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