新型肺炎の拡大懸念で急落した株式市場 新型肺炎の拡大ペースと経済への影響を見極めるタイミング
新型肺炎の拡大懸念で急落した株式市場
【ポイント1】急落した海外株式市場
新型肺炎の感染拡大を懸念
■2月24日の海外市場は、新型肺炎の拡大懸念で大きく下落しました。NYダウは前日比1,000ドル以上下落して、▲3.6%の2万7,960.80ドルで引けた他、欧州のストックス600指数も▲3.8%下落しました。欧米市場は堅調な10-12月期企業業績、今後の景気回復期待や緩和的な金融政策を反映して先週半ばまで過去最高値をつけましたが、新型肺炎への警戒心が薄かったことも昨日の下落幅を大きくしたと考えられます。
【ポイント2】中国外で新型肺炎の感染が拡大中
中国は感染者数が減少し経済対策も
■昨日の相場調整は新型肺炎の感染が中国外の国・地域へ広がってきたことが要因です。特に、韓国、イタリア、イランで感染者数が急増しています。また、中東諸国でも感染が拡大しています。
■現時点では新型肺炎に対する治療法が確立しておらず、感染者数の増加を抑えるには患者の隔離が最も有効とされています。これが大規模に行われれば、経済活動が減速しかねず、株式市場への影響は避けられないとの見方が広がりました。
■なお、新型肺炎の発端となった中国では、湖北省の基準変更の影響を除くと、2月の初旬に新規感染者数の増加がピークを打った形になっています。また、中国政府は感染拡大の封じ込めの他、経済活動が極度に落ち込まないよう、財政政策と金融政策を積極的に活用する方針を明確にしています。今後、中国外でも、感染が拡大すれば、各国・地域で景気刺激政策が取られると見込まれます。
【今後の展開】新型肺炎の拡大ペースと経済への影響を見極めるタイミング
■2002年から03年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の例では、隔離によって収束が図られた結果、02年11月に発症した後、03年7月に終息しました。SARSは感染者の合計が約8,000人だったのに対し、今回の新型肺炎は既に感染者数がほぼその10倍となっている他、中国外での感染者数の拡大が加速しつつあります。一方、事態が深刻な故に各国の専門家が有効な治療法の確立に努めています。もし治療法が見つかれば、市場のセンチメントは大きく転換する可能性があります。
■今後は、中国で人の移動の制限が徐々に解除される中で感染者数が増加しないか、中国外での感染者数の拡大が加速しないか、治療法の確立が進むか等について注意をもって観察する必要があります。
(2020年2月25日)
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