米国による中国の『為替操作国』認定って?

2019/08/21

米国による中国の『為替操作国』認定って?

米財務省は8月5日に中国を『為替操作国』に認定しました。『為替操作国』とは、米国が、貿易で有利になるため自国通貨安に誘導していると判断した国のことを指します。米国は状況次第で『為替操作国』に対して関税引き上げなどを検討するとされていますが、中国からの輸入品の一部にはすでに追加関税がかかっていることなどから、今回の中国の『為替操作国』認定自体がもつ意味合いはあくまで象徴的なものにとどまりそうです。

【ポイント1】米財務省は中国を『為替操作国』に認定

1ドル=7元の水準を超える元安進行を問題視

■米財務省は8月5日に中国を『為替操作国』に認定したと発表しました。同日に人民元が1ドル=7元の水準を超えて下落したことについて、米財務省が、中国が輸出競争力を高めるために実施した人為的な通貨切り下げに該当すると判断したためです。今後、国際通貨基金(IMF)と協力して中国に為替介入を止めるよう求めるとしています。なお、米国が他国を『為替操作国』に認定するのは1994年以来となります。

■通常、『為替操作国』認定の有無は、年2回、米連邦議会に提出される為替報告書のなかで示されますが、今回は異例のタイミングでの認定となりました。

【ポイント2】米政権は『為替操作国』認定の判断根拠となる法律を使い分け

貿易黒字など3基準の充足が必要だが…

■今年5月の為替報告書では、『為替操作国』認定の3基準として、(1)サービス収支を除く財の貿易黒字:過去4四半期合計の対米黒字額が200億ドル以上、(2)経常黒字:同期間における経常黒字額が対GDP比で2%以上、(3)為替介入:為替介入による外貨の買い入れが過去12カ月合計でGDPの2%以上等、があげられました。中国が該当するのは(1)のみとなっていました。

■上記の基準は2015年貿易円滑化・貿易執行法によるものですが、今回の『為替操作国』認定は1988年包括通商競争力法に基づくもので、トランプ政権の対中圧力強化の強い意図が表れた形です。

【今後の展開】中国の『為替操作国』認定自体は象徴的な意味合いが強そう

■『為替操作国』の認定後、米国は当該国に協議を求め、問題が解決しない場合、関税引き上げなどの制裁措置を検討するとされています。しかし、中国からの輸入品の一部についてはすでに追加関税が賦課されているほか、IMFが人民元相場について為替介入はほとんどみられないとの認識を示すなど、米国とIMFの足並みがそろっていません。したがって、『為替操作国』認定自体のもつ意味合いは象徴的なものにとどまりそうです。

■米中貿易摩擦については、9月開催が見込まれる米中閣僚級協議の行方や、9月および12月に発動が予定されている対中追加関税第4弾の動向などが注目されます。

(2019年8月21日)

印刷用PDFはこちら↓

米国による中国の『為替操作国』認定って?

関連マーケットレポート

2019年8月6日 米中対立激化と1ドル=7元突破の意味(市川レポート)

2019年8月6日 人民元安をきっかけに金融市場の変動拡大

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

コラム&レポート Pick Up