豪州の金融政策:2年10カ月ぶりの利下げ(2019年6月)RBAは雇用などを重視、今後も利下げ実施の可能性
豪州の金融政策:2年10カ月ぶりの利下げ(2019年6月)
政策金利は1.50%から1.25%へ
■豪州準備銀行(RBA)は、6月4日に開催した金融政策決定会合で、市場予想どおり、政策金利を1.50%から1.25%へ引き下げました。利下げは2016年8月以来、2年10カ月ぶりとなります。
【ポイント2】失業率には更なる低下余地
■RBAの声明文によれば、今回の利下げは雇用の増加をサポートし、インフレが目標に到達する確信度を高めるために実施したとしています。
■労働市場については、雇用者の伸びは強いと評価した一方、賃金の伸びの鈍さなどを指摘しました。そのうえで、労働市場の状況を総合的に勘案すると、4月に5.2%に上昇した失業率には低下余地があることが示唆されると述べています。
■今後については、労働市場を注視し、経済の持続的成長と物価目標の達成のために金融政策を調整するとしています。
【今後の展開】利下げの効果や政府の財政政策などに注目
■RBAは今後、雇用情勢などに改善がみられない場合、追加利下げに動く可能性があります。もっとも、豪ドルについては、これまで利下げを織り込みながら低下してきたことや、投機筋が大幅に売り越していることから、当面の下落余地は限定的と思われます。本日の利下げ決定後も小動きにとどまりました。
■今後は利下げの効果によって住宅・設備投資が刺激されることが期待されるほか、減税など新政府の財政政策の効果が出てくることが見込まれます。
■一方で外部環境をみると、米中貿易摩擦の激化に加え、トランプ米大統領が6月10日からメキシコからの全輸入品に5%の追加関税をかける方針を示すなど、不透明感が高い状況が続いています。今後、事態の改善につなげることができるか、動向が注目されます。
(2019年6月4日)
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