運用者の視点:『上海モーターショー』
運用者の視点:『上海モーターショー』
「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、感じたことを“運用者の視点”として定期的にお届けしています。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの“今”を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。今回は、注目度が高まる『上海モーターショー』と、中国の電気自動車市場について見ていきます。 |
【ポイント1】自動車市場世界一の中国の『上海モーターショー』に注目
■4月に『上海モーターショー』が開催されました。モーターショーと言えば、かつては東京モーターショーがドイツのフランクフルト、米国のデトロイトと並ぶ世界3大モーターショーに数えられました。しかし、近年では、自動車市場として中国が世界一になるとともに、海外の大手自動車メーカーにとっては、上海が最先端の技術や世界初公開の新型車、コンセプトカーなどを優先して発表する場になってきています。
■さて、東京からアジアの主役の座を奪った形の『上海モーターショー』ですが、今回は電気自動車など新エネルギー車一色のイベントとなりました。既に米国を抜いて世界最大の自動車市場となっている中国では、自動車メーカーに一定比率の電気自動車などの生産を義務づける規制が導入されており、ビジネス拡大を目指す自動車メーカーにとって、新エネルギー車を投入しないという選択肢はありません。
■電気自動車に関して、中国は明らかに世界の中心になっており、巨大な市場を背景に世界中から最先端の技術と人材を集め、新型車が次々に投入されるという好循環が加速しています。
【今後の展開】電気自動車市場で勝者となるのは誰か?中国系も依然課題抱える
■もっとも、中国が世界の電気自動車市場の中心だからといって、中国系の自動車メーカーが最終的な勝者になれる保証はありません。電気自動車は、巨額の投資や熟練の技術が求められるガソリン車と比べて参入障壁は高くなく、中国の電気自動車業界は独立系を含めた混戦模様となっています。最終的に誰が勝者になるか現時点では不透明であり、日本企業については中国での出遅れを懸念する声も一部にあるようです。ただし、資金力と技術力、ブランド力に優れた日米欧の伝統的な自動車メーカーがさらに力を入れて新エネルギー車の開発に取り組んだ時、中国系が正面から立ち向かうのは簡単ではありません。電気自動車の世界では機能性や安全性が重視され、性能が均一化されていく中、デザインに代表される個性でどこまで勝負できるのか、中国系は依然として大きな課題を抱えていると見ています。
(2019年5月14日)
印刷用PDFはこちら↓
関連マーケットレポート
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会