日経平均株価~ここまでの下げは調整の範囲内

2018/05/29

 市川レポート(No.512)日経平均株価~ここまでの下げは調整の範囲内

  • 日経平均は先週、一時23,000円台を回復したがその後反落、ただしこの下げは調整の範囲内。
  • 23,000円台回復はEPSではなくPER上昇によるもの、株反落で期待先行の株高は適切に修正。
  • 日経平均のEPS上昇は次の決算待ち、株価はそれまで各種材料の思惑主導で振れやすい展開。

日経平均は先週、一時23,000円台を回復したがその後反落、ただしこの下げは調整の範囲内

日経平均株価は先週5月21日、取引時間中に23,050円39銭の高値をつけ、終値ベースでも23,000円台を回復しました。株価上昇の背景にあったのは、米中貿易摩擦問題に対する懸念の後退や、ドル高・円安の進行です。貿易戦争リスクが後退したことで、日本株に買い安心感が広がり、また、相場がドル高・円安に振れたことで、業績予想の上方修正期待が高まりました。

しかしながら、日経平均株価は23,000円台回復の達成感から、その後は売りに押される展開となりました。また、先週は米長期金利の低下とともに、為替市場でドル安・円高の動きが顕著となり、これも株価を押し下げる要因になったと考えられます。その結果、日経平均株価は5月25日の取引時間中に、22,318円15銭の安値をつけました。しかしながら、この下げは調整の範囲内と思われます。

23,000円台回復はEPSではなくPER上昇によるもの、株反落で期待先行の株高は適切に修正

日経平均株価の予想1株当たり利益(EPS)について、5月10日から5月28日までの推移をみると、1,640円~1,670円台で、比較的落ち着いていることが分かります(図表1)。この数字は、3月決算企業が決算発表で公表した、今期の利益予想を反映しています。一方、株価収益率(PER)の動きを確認すると、5月10日は13.56倍でしたが、日経平均株価が23,000円台を回復した5月21日に向けて、14倍付近まで上昇しています。

つまり、日経平均株価の23,000円台の回復は、増益予想(EPSの上昇)によるものではなく、期待先行(PERの上昇)によるもので、上値余地は限られます。5月28日時点で、日経平均株価は22,400円台まで下げていますが、EPSがほぼ変わらないまま、PERが13.5倍まで戻っていますので、期待先行の株高は適切に修正されたと解釈できます。したがって、ここまでの日経平均株価の下げは、調整の範囲内といえます。

日経平均のEPS上昇は次の決算待ち、株価はそれまで各種材料の思惑主導で振れやすい展開

なお、最近の株価の動きは、先物取引の影響も大きいと思われます。4月第1週から5月第3週まで、海外投資家による日経225先物の買いがみられます(図表2)。前述の通り、この期間におけるドル高・円安の進行が先物の買い材料になり、先物買いに伴う裁定買いが、現物を押し上げた可能性があります。ただ、その後、為替がドル安・円高に振れたため、海外投資家が先物の売りに転じ、裁定解消による現物売りが出回ったと推測されます。

日経平均株価が増益予想(EPSの上昇)を伴って上昇するには、企業が決算発表(4-6月期決算は7月下旬から8月上旬頃、中間決算は10月下旬から11月上旬頃)で、実際に業績予想を上方修正する必要があります。それまでの間、日経平均株価は、米中貿易摩擦問題、北朝鮮情勢、欧州政治動向などをにらみつつ、ドル円相場の影響も受けながら、思惑主導で振れやすい展開が予想されます。

 

180529

(2018年5月29日)

 

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友アセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友アセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会