建設的あいまいさ?
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◆日米政府の説明にズレ
7月23日の日米関税「15%」合意にマーケットは大いに沸きました。ところが、ここにきてその内容を不安視する声が出始めています。両国の政府が合意内容の文書化に消極的な姿勢を示しているうえ、見解にも相違が見られているためです。
主な相違点を下表にまとめました。米ホワイトハウスホームページの記載(ファクトシート)を見ると、自動車関税の税率や適用時期など、重要な点が明記されていません。また、5,500億ドルの対米投資や、米国産コメの輸入拡大についても、日本政府の説明とズレが見られます。8月1日を前に相互関税の15%については大統領令が署名されましたが、それ以外の部分については不確実性がなお残っています。
◆「ちゃぶ台返し」リスクと隣り合わせ
合意文書があればこうした相違は埋められる可能性が高いでしょう。ただ、日本政府はそれに否定的な
立場です。複数の報道によると、日本側には「文書作成の過程で米国側から“後出し”の要求が出かねない」との警戒もあるようです。
これは、両政府が中身の認識でしっかり一致したうえで、それぞれが自国民向けに「勝利宣言」をするために、あえてあいまいにした結果なのかもしれません。そうであれば、「建設的あいまいさ」 (constructive ambiguity)と評価できます。ただ、相手は頻繁に前言を撤回するトランプ大統領です。公式な文書での合意がない限り、「ちゃぶ台返し」リスクは残っていると考えておくべきでしょう。
◆様々なリスクシナリオ
「ちゃぶ台返し」を前提にすると、今後のマクロ経済・政策・金融市場について、様々なリスクシナリオを考えておく必要がありそうです。例えば、税率や適用時期が急に変わった場合、日米関税交渉が再び行われる可能性が出てきます。ここまで交渉を担ってきた石破首相・赤沢経財相が継続していくのが望ましいとの見方になって、与野党内で「石破首相退陣論」が後退するかもしれません。そうなれば株式市場が不安定化する可能性もあります。また、関税による不確実性を警戒してきた日銀が、改めて早期利上げに慎重姿勢を強めるとの観測が広がる展開もあり得るでしょう。
米国の対日関税政策は、もうしばらく高い緊張感を持ってウォッチしておいた方が良さそうです。
(シニアストラテジスト 稲留 克俊)

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