FOMCと日銀決定会合を終えて
市川レポート(No.264)FOMCと日銀決定会合を終えて
- FOMCメンバーの政策金利予想が全般に下方修正、次回7月FOMCでも利上げは見送りへ。
- 日銀の政策据え置きでドル円は104円台前半まで円高進行、日経平均は15,400円台に下落。
- 英EU残留が決まり円安・株高に振れても、その勢いと持続性については慎重な見極めが必要。
FOMCメンバーの政策金利予想が全般に下方修正、次回7月FOMCでも利上げは見送りへ
6月14日、15日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通り利上げが見送りとなりました。今回発表された最新の経済見通しをみると、FOMCメンバーが適切と考える政策金利水準が全般に下方修正されました。2016年末の予想中央値は0.875%で変わらず(図表1)、年内2回の利上げ示唆となりましたが、年内1回だけの利上げを予想するメンバーは、前回の1人から6人に増加しました。
その他期間の予想中央値は、2017年末が1.875%から1.625%へ、2018年末が3.0%から2.375%へ、長期が3.25%から3.0%へ、それぞれ大きく下方修正されました。なおFOMC声明は、第1段落で経済活動の現状判断が上方修正され、労働市場が下方修正されるなどの変更がありましたが、それ以外は前回とほとんど変わりませんでした。米連邦準備制度理事会(FRB)は引き続き慎重に利上げを進めるとみられ、7月26日、27日のFOMCでも利上げは見送られると予想します。
日銀の政策据え置きでドル円は104円台前半まで円高進行、日経平均は15,400円台に下落
6月15日、16日に開催された日銀金融政策決定会合では、こちらも大方の予想通り追加緩和は見送りとなりました。景気判断は「基調としては緩やかな回復を続けている」との見方が維持されました。物価については、前回の「当面0%程度で推移」から「当面小幅のマイナスないし0%程度で推移」に若干下方修正されましたが、「物価の基調は着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていく」との箇所に変更はありませんでした。
日銀の追加緩和見送りの報道が正午前に伝わると、市場は直ちに円高・株安で反応しました(図表2)。ドル円は105円を割り込んでドル安・円高が進行し、午後3時に104円10銭台をつけました。日経平均株価は先物主導で後場から下げ足を速め、結局前日比485円44銭安となる15,434円14銭で取引を終えました。ここまでが日米金融政策の結果を受けた円相場と日本株の反応と思われます。
英EU残留が決まり円安・株高に振れても、その勢いと持続性については慎重な見極めが必要
6月に入り、1日の安倍首相の会見で経済対策や日銀の追加緩和が後ずれするとの見方が強まったこと、3日の5月米雇用統計が予想を下回る弱い内容だったこと、英国が欧州連合(EU)を離脱(Brexit)するとの懸念が再燃したこと、これらの材料が重なったことにより、ドル円はドル安・円高方向への動きが加速しました。日本株も政策期待の後退に円高が加わったことで、調整色を強めています。
目先はBrexitへの警戒が必要で、ドル円の下値目途は102円、日経平均株価は15,000円を引き続き見込みます。6月23日の英国民投票の結果、離脱となれば更なる下値が意識されますが、主要国は市場安定に向けた政策を直ちに発動すると思われます。一方、残留となればリスクオフ(回避)の巻き戻しが予想されますが、日本の経済対策が明らかになるのは参議院選挙後、追加緩和は7月、そして米利上げは9月とみていますので、円安・株高に振れたとしても、その強さと持続性については慎重な見極めが必要です。
(2016年6月16日)
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