FOMCと日銀会合プレビュー
市川レポート(No.240)FOMCと日銀会合プレビュー
- FOMCは金融政策を据え置くと予想、声明では物価やリスクバランスなどに関する見解に注目。
- 日銀の追加緩和に対する市場の期待は高まっているが、今回は見送られる公算が大きいと予想。
- 日米金融政策据え置きでも、米ハト派姿勢維持と日銀緩和期待継続ならば、強い警戒は不要。
FOMCは金融政策を据え置くと予想、声明では物価やリスクバランスなどに関する見解に注目
米連邦準備制度理事会(FRB)は4月26日、27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催します。今回は声明のみの発表で、FOMCメンバーの経済および政策金利の見通しは公表されず、イエレンFRB議長の記者会見も予定されていません。米金融当局は3月にハト派的な姿勢を示し、これが足元の金融市場の安定につながっていることから、今回の会合でも大方の予想通り金融政策は据え置かれると思われます。
3月のFOMC声明(図表1)では、景気の現状判断が上方修正された一方、物価は低水準との判断が維持され、「物価動向を注意深く監視する」という文言が加わりました。また経済活動と労働市場の見通しに対するリスクバランスの判断は引き続き見送られ、「世界経済と金融情勢は引き続きリスクをもたらしている」との認識が示されました。今回はこれら物価、リスクバランス、世界経済と金融情勢について、どのような見解が示されるか注目されます。
日銀の追加緩和に対する市場の期待は高まっているが、今回は見送られる公算が大きいと予想
日銀は4月27日、28日に金融政策決定会合を開催します。足元では物価の伸び悩みが続き(図表2)、今回公表される「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)では、物価見通しが下方修正され、物価目標の達成時期が先送りされる可能性があります。そのため市場では追加緩和への期待が高まっており、4月22日の日本時間午後に追加緩和観測の報道が伝わると、円安・株高の動きが顕著となりました。
ただ原油相場の持ち直しや海外金融市場の安定を背景に、過度な円高リスクが後退し、日本株が戻り基調にあることから、追加緩和の緊急性は低下しつつあるとみられます。また日銀にはマイナス金利の影響や効果を今しばらく見極める時間が必要と思われ、順序としては、政府の経済対策の方が先行すると考えます。そのため今回の会合で追加緩和は見送られる公算が大きいと予想します。
日米金融政策据え置きでも、米ハト派姿勢維持と日銀緩和期待継続ならば、強い警戒は不要
最後に日米金融政策が据え置かれた場合の相場への影響を考えます。FOMCでハト派的な姿勢が維持されれば、為替市場でのドル安基調に変化はないとみます。円もドル以外の通貨で安くなり、日本株を含むリスク資産全般の追い風になると思われます。仮にFOMC声明が次回6月の利上げを強く意識させるタカ派的な内容となれば、脆弱さが残る今の金融市場では、ドルや円が主要通貨に対し上昇し、株式などリスク資産が総じて軟調に推移する恐れがあります。
日銀に関する前述の観測報道は、日銀がマイナス金利拡大と併せて金融機関への貸し出しにマイナス金利の適用を検討しているという内容でした。市場の期待が高まるなかで日銀が据え置きを決定した場合、期待先行で進行した円安や株高には修正が入る可能性があります。ドル円の110円割れ、日経平均株価の17,000円割れという展開も想定が必要とみていますが、緩和期待が維持され、市場全体の地合いの悪化につながらなければ、それほど強い警戒は必要ないと思われます。
(2016年4月25日)
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