ドル円相場~2015年の振り返りと2016年の展望

2016/01/05

市川レポート(No.194)ドル円相場~2015年の振り返りと2016年の展望

  • 2015年は119円台後半で始まり内外要因で上下に振れ、結局120円台前半で取引を終了。
  • 引き続き日米の金融政策当局が相場のカギに、ただ日銀は当面追加緩和を見送るとみる。
  • 米利上げは年2回で上値目途は126円を予想、下値目途は118円だが一段安の可能性も。

2015年は119円台後半で始まり内外要因で上下に振れ、結局120円台前半で取引を終了

 2015年のドル円相場は、年初の119円78銭水準から1月16日に115円86銭近くまで下落し、年間安値をつけました(図表1)。その後、5月22日に米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が年内利上げの可能性を示唆したことなどを受けドル円は上昇し、6月5日に125円86銭水準の年間高値をつけました。しかし6月10日の黒田日銀総裁発言(実質実効為替レートがここからさらに円安に振れることはない)やギリシャ問題が材料視され、ドル円は反落しました。

 8月に入ると人民元切り下げや上海株安の進行で中国景気に対する懸念が強まり、これに米利上げ時期を巡る不透明感が重なりました。金融市場はリスクオフ(回避)に傾き、ドル円は8月24日に一時116円18銭水準まで下落しました。その後は相場の落ち着きとともに123円台を回復し、12月の米利上げや日銀の緩和補完措置の発表というイベントも乗り切りましたが、原油安が一段安になると、ドル売り・円買いが優勢となり、結局120円22銭近くで取引を終えました。  

引き続き日米の金融政策当局が相場のカギに、ただ日銀は当面追加緩和を見送るとみる

 一部で期待されていたほどドル円が上昇しなかった要因として、以前ほど強く円安を望む姿勢が日本政府にみられなくなったことや、市場で緩やかな米利上げのペースが織り込まれたことなどから、投機筋を中心にドル買い・円売りのポジションが積み上がらなかったのではないかと推測されます。値幅も2015年は約10円にとどまり、2011年の約10円18銭を下回って過去40年(年間平均は約27円62銭)で最小となりました。

 2016年のドル円相場について、カギを握るのは引き続き日米の金融政策と考えます。日銀が2016年度の物価見通しを下方修正するとの報道もみられるなか、市場では春闘の動向をにらんだ日銀の追加緩和への期待が依然残っています。ただ日銀が現行の政策枠組みのなかで、物価の基調は改善しているとの主張を続ける限り、当面追加緩和は見送られると思われます。

米利上げは年2回で上値目途は126円を予想、下値目途は118円だが一段安の可能性も

 一方、米国では景気拡大局面がすでに6年を超え、物価も伸び悩んでいることを勘案すれば、利上げは年2回程度にとどまるとみています。予想される日米金融政策からドル円の上値は126円程度を見込んでいますが、これ以上のドル高・円安には、米経済の力強い成長を背景とする利上げペースの加速や、日銀による大規模な追加緩和などが必要と考えます。

 なお足元の原油相場とクレジット市場の動向や、中国をはじめとする新興国の景気動向は、ドル安・円高方向のリスクとして注意が必要です。1月4日の東京市場でも中国の12月財新製造業PMIの悪化などから、株安と円高が進行しました。引き続き中東情勢やテロなどの地政学リスクに加え、今年は英国のEU離脱に関する国民投票にも注意が必要です。ドル円の下値目途は118円をみていますが、これらの材料が極端に悪い方向に振れた場合は、115円程度までの引き下げが必要になる可能性があります。

160105 図表1

 (2016年1月5日)

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