衆院選後の与党獲得議席数別に考える日経平均株価の反応

2024/10/21

衆院選後の与党獲得議席数別に考える日経平均株価の反応

    • 自民党と公明党は与党で過半数を衆院選の目標に、今回はこの目標達成の成否が1つの焦点。
    • 与党の議席数増で株高、減少でも絶対安定多数維持なら影響軽微、安定多数未達で株安も。
    • それでも過半数なら目標達成で株安は一時的、過半数割れは大幅安、新政権の政策見極めへ。

自民党と公明党は与党で過半数を衆院選の目標に、今回はこの目標達成の成否が1つの焦点

第50回衆議院議員総選挙が10月15日に公示され、10月27日の投開票に向けて12日間の選挙戦に入りました。小選挙区289、比例代表176の総定数465議席を巡る争いとなりますが、野党の候補一本化が進まず、与野党が事実上一対一で対決する「一騎打ち」は小選挙区の2割に満たない状況です。与党の自由民主党(以下、自民党)と公明党は「与党で過半数」を目標に据えており、今回は、この目標達成の成否が1つの焦点となります。

なお、公示時点の議席数は、自民党247、立憲民主党98、日本維新の会44、公明党32、日本共産党10、国民民主党7などであり、自民、公明両党の議席数は279でした。選挙の結果、これらの議席数がどのように変化するかが注目されますが、今回のレポートでは、想定され得る与党の獲得議席数をいくつかのシナリオに分け、日経平均株価がどのように反応するかを考えてみます(図表)。

与党の議席数増で株高、減少でも絶対安定多数維持なら影響軽微、安定多数未達で株安も

まず、与党が279議席から議席数を増やし、「3分の2」の310議席以上を確保した場合、石破政権の長期安定期待から、日経平均は大幅高が見込まれますが、議席数がそこまで至らずとも、279議席からいくらか増えれば、政局の不透明感が払拭され、株高の反応が予想されます。また、与党が議席数を減らしても、「絶対安定多数」の261議席以上を維持できれば、石破首相の求心力に大きく影響することはなく、日経平均の反応も限定的と思われます。

なお、自民党は今回、247議席から大きく議席を減らし、衆議院定数465の過半数にあたる233議席に届かない可能性が複数の報道で指摘されており、一部で50議席程度減る見通しが報じられています。与党の議席数が「安定多数」の244議席を下回った場合、自民党の議席数が焦点になります。自民党が大幅に議席数を減らし、石破首相の求心力低下と政権安定への懸念が強まれば、日経平均はいったん下落の動きも予想されます。

それでも過半数なら目標達成で株安は一時的、過半数割れは大幅安、新政権の政策見極めへ

ただ、与党の議席数が安定多数割れとなっても、「過半数」を維持できれば、与党の目標は達成されたことになります。与党は2025年夏の参議院選挙を強く意識し、大規模な補正予算を計上し、大型の経済対策を打ち出すことも想定されるため、日経平均は下げたとしても一時的の可能性が高いと考えられます。仮に、与党が議席数を一段と減らし、過半数の233議席を失った場合、野党も過半数未達なら、連立を模索する展開となります。

一方、野党が過半数の議席を獲得すれば、政権交代となりますが、参議院では与党が過半数の議席を占めているため、ねじれ国会となります。このように、与党が過半数割れとなれば、政局の不透明感がかなり強まり、日経平均株価は大幅安となる恐れがあります。ただ、政権交代となっても、新政権による安定した政策運営を見通すことができれば、日経平均は次第に落ち着きを取り戻すと思われます。

 

 

 

(2024年10月21日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会