米国株の注意点と事前に備えておきたいことについて

2021/07/06

米国株の注意点と事前に備えておきたいことについて

  • 米国株は堅調に推移しているが、100%を上回ると割高とされるバフェット指数はすでに200%超。
  • GAFAMの時価総額は現在東証1部の約1.3倍、投資マネーが一部の米IT企業に極端に集中。
  • 直ちに調整するとは限らないが、事前の備えとして投資の現状確認やポートフォリオの構築は大切。

米国株は堅調に推移しているが、100%を上回ると割高とされるバフェット指数はすでに200%超

7月2日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均、S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数の主要3指数が、そろって過去最高値を更新しました。このうち、S&P500種株価指数は7営業日連続で最高値を更新しており、これは1997年以来のこととなります。このように、米国株は堅調に推移していますが、少し注意しておきたい点もあるため、以下、解説します。

まず、米国株のバフェット指数を確認します。バフェット指数とは、株式の時価総額を名目GDPで割り、100を掛けてパーセント表示にした数字で、一般に100%を上回れば株価は割高、下回れば割安と解釈されます。著名投資家のウォーレン・バフェット氏がこれを重視するとされていることから、広くバフェット指数と呼ばれています。米国株のバフェット指数は、すでに200%を超えています(図表1)。

GAFAMの時価総額は現在東証1部の約1.3倍、投資マネーが一部の米IT企業に極端に集中

次に、個別銘柄をみると、米国では近年、GAFAM(グーグルの持ち株会社アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト)の株価が顕著に上昇しており、株式市場全体の牽引役となっています。これら巨大IT(情報技術)企業5社は、コロナで変容した生活様式に対応し、自動運転など次世代技術でも成長余地が大きいとの声も聞かれます。

その結果、GAFAMの時価総額はこのところ急増しています。GAFAM5社の時価総額合計と、東証1部上場企業(7月2日時点で2,187社)の時価総額合計の推移を示したものが図表2です。これをみると、GAFAM5社の時価総額合計は、昨年に東証1部全体の時価総額を上回り、直近で1.3倍程度となっています。ここから、投資マネーが一部の米IT企業に極端に集中している様子がうかがえます。

直ちに調整するとは限らないが、事前の備えとして投資の現状確認やポートフォリオの構築は大切

さて、ここまで、少し注意しておきたい点をみてきましたが、米国株のバフェット指数については、100%を超える状態がすでに長く続いており、足元で200%を超えていても、直ちに大きな調整が入るとは限りません。また、同様に、GAFAMへの資金一極集中も、直ちに巻き戻しが発生するとは限りません。ただ、何らかのきっかけで、調整や巻き戻しが生じやすい状態にあることは、理解しておくべきだと考えます。

 そのような事態の発生に備え、事前にすべきことは、個人投資家であれば、まずはリスクを取りすぎていないか、投資先が偏っていないかを確認しておくことです。また、2019年11月26日付レポート「投機筋に振り回されないための投資戦略」や、2020年2月18日「個人投資家向けポートフォリオの構築方法」で説明しましたが、適切なポートフォリオの構築も大切で、相場環境の急変時に、落ち着いた行動が可能になります。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

(2021年7月6日)

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ