東証グロース市場改革

2025/05/30

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◆「高い成長を目指した経営」と「上場維持基準の変更」

東京証券取引所(東証)は、4月22日に「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」を開催し、グロース市場に上場する企業が、継続的に高い成長を実現するための施策を公表しました。東証はかねてよりプライム市場及びスタンダード市場の上場企業に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請してきました。今回はグロース市場を活性化させることが目的で、ポイントは以下の2点です。

1点目は、「高い成長を目指した経営」の働きかけです。これまでスタートアップ企業において、新規株式公開後に企業価値が高まらず、結果的に上場自体が目的になってしまう、いわゆる「上場ゴール」問題が指摘されてきました。この問題への対応として、企業には上場後の成長状況を分析し、想定通りの成長ができていない場合にはその要因や対応策を具体的に開示するよう求める仕組みです。さらに、これら開示を年1回以上、継続的な実施を求めていることから、上場後の成長が思わしくないグロース企業には大きなプレッシャーになると考えられます。

2点目は、上場維持基準の見直しです。現行では「上場10年経過後から時価総額40億円以上」としている基準を、「上場5年経過後から時価総額100億円以上」と大幅に引き上げます。上場企業はこれまで以上に株価(時価総額)の上昇や合従連衡なども意識することになるとみられます。また、時価総額100億円という規模は、機関投資家の投資対象となることも念頭に置いています。機関投資家は投資先企業にエンゲージメント(対話)を通じて、経営への提案や、非効率な経営には議決権行使などで経営への働きかけをすることも可能です。こうした厳しい基準を設けることで、グロース市場全体の底上げを狙うものとみられます。

機関投資家がグロース市場に参入しやすくなることで、質の高い企業による市場の形成が進めば日本の株式市場全体の魅力向上につながりそうです。 

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