日経平均株価とメジャーSQ

 

市川レポート(No.643)日経平均株価とメジャーSQ

  • 先物とオプションの清算が重なるメジャーSQの週は、株価の変動幅が一時的に拡大することもある。
  • 日経平均の21,500円や22,000円近辺はオプション絡みの取引により一段高となりやすい水準。
  • 先物絡みでも日経平均は21,700円超えで上昇加速の可能性、ただ基本的には一時的な動き。

先物とオプションの清算が重なるメジャーSQの週は、株価の変動幅が一時的に拡大することもある

今週は3月8日に、株価指数先物とオプションの3月物が特別清算指数(SQ)算出を迎えます。今回は先物とオプションの清算が重なる「メジャーSQ」です。一般に、メジャーSQのある週は、清算価格を巡る思惑的な売買が出やすく、また先物やオプションの取引主体が、限られた時間で取引判断を迫られるため、株価が一時的に大きく変動することがあります。そこで、直近の日経225先物と日経225オプションの取引動向を踏まえ、日経平均株価の方向性を探ります。

まず、日経225オプションについては、2月21日付レポート「日経225オプションのコール21,500円」にて、行使価格21,500円の3月物コールオプションの建玉(たてぎょく、未決済残高のこと)が大きく積み上がっていることを指摘しました。現時点では、図表1の通り、行使価格22,000円の3月物コールオプションの建玉も、積み上がりが目立っています。

日経平均の21,500円や22,000円近辺はオプション絡みの取引により一段高となりやすい水準

日経平均株価が21,500円や22,000円を超えて上昇すると、各行使価格のコールオプションの買い手には利益が発生しますが、売り手には損失が発生します。そのため、売り手は別途、日経225先物を買い、そこから発生する利益で損失を補てんしようとします。なお、先物の買いで、先物が現物に対し一時的に割高になると、裁定業者(主に証券会社)が「先物売り+現物買い」の裁定取引を行うため、現物である日経平均株価はさらに上昇しやすくなります。

次に、先物に目を向けると、主な取引主体である海外投資家は、日経平均株価が2018年の取引時間中に高値を付けた10月第1週から安値をつけた12月第4週までの間、日経225先物を約1.8兆円売り越しました。また、2018年12月14日は日経225先物の12月物のSQ算出日でしたが、建玉をみると、12月物の売り(ショート)ポジションは、3月物への乗り換え(ロールオーバー)が進んだと推測されます(図表2)。

先物絡みでも日経平均は21,700円超えで上昇加速の可能性、ただ基本的には一時的な動き

なお、2018年の取引時間中につけた日経平均株価の高値は、10月2日の24,448円07銭、安値は12月26日の18,948円58銭でした。これらを単純平均すると、約21,700円になります。そのため、この期間に継続して売り建てられた日経225先物の12月物のポジションは、前述の通り、多くが3月物にロールオーバーされたとみられ、その持ち値は平均的に21,700円程度と考えることができます。

したがって、日経平均株価が21,700円辺りを超えて上昇すると、日経225先物の3月物の売り手には損失が発生すると推測されるため、売り手は損失確定のために先物を買い戻すか、6月物にロールオーバーするかの選択を迫られます。先物の買い戻しとなれば、裁定取引を通じ、現物である日経平均株価の一段高が予想されます。ただ、このような動きは、基本的にはポジション調整による一時的なものであり、SQ通過後は、再び先物に売りが膨らみ、現物が下げに転じることも起こり得ます。

(2019年3月4日)

 

190304

市川レポート バックナンバーはこちら

http://www.smam-jp.com/market/ichikawa/index.html

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会