日経平均株価の居所
▣ 国内株まだ割安な状態
株価の割高、割安を判断する指標の一つであるPBR(株価純資産倍率)※は、日経平均株価については昨年12月25日には0.99倍と1倍割れ、また予想PER(株価収益率)は10.71倍と2012年以来の10倍台まで低下しました(図表1、2)。直近の1月24日時点では予想PERは11.95倍、PBRは1.09倍まで戻っていますが、過去の水準からみると割安な状態です。
アベノミクス前には1倍を下回る場面が多かった日経平均株価のPBRは、アベノミクス以降2015年までは1.2倍前後まで低下すると株価は反発、2016年以降は1.0倍前後で株価は反発してきました。
予想PERは、アベノミクス以降2015年までは14倍前後まで低下すると株価は反発、2016年以降は12倍前後で反発してきましたが、昨年12月に12倍を割り込み、25日には11倍を下回りました。
▣ 株価は大幅減益を織り込んだ水準
PERは「PER=株価÷1 株当たり利益(EPS)」で求められ、株価が1 株当たり利益の何倍になっているかを示す指標です(予想PERは今期の予想EPSから算出)。過去の水準と比較して、割高・割安の判断(PERが低ければ株価は割安、高ければ割高)などに使われます。式を変形すると、「株価=PER×EPS」ですから、PERが上昇(低下)する、あるいはEPSが増加(減少)すれば株価が上昇(下落)することになります。
今回は今期の予想EPSはさほど変化していませんから、今期、来期のEPSの大幅な下振れを織り込む形で、株価がPERの低下とともに下落したことになります。予想EPSは今期の予想ですが、株価についてはもう少し先の業績を織り込みにいきます。日経平均株価の予想PERの2014年からの平均は14.7倍。やや控えめに14倍を基準にすると、2万1,000円を下回る足元の日経平均株価は、来期までのEPSについて10%台半ばの減益を織り込んだ格好です(EPSが14%強下振れると、PER14倍で足元の株価水準に)(図表3)。
▣ 過度な業績下振れ懸念が後退すれば
国内では、日本電産が、米中貿易摩擦の影響などを背景に2019年3月期の業績を下方修正するなど、企業業績の先行き不透明感が広がっています。ただ、今期、来期については大幅な減益は見込まれていません。国際通貨基金(IMF)は1月21日に発表した世界経済見通し(WEO)で、2019年の世界経済の成長率を3.5%、2020年を3.6%と、それぞれ0.2ポイント、0.1ポイント下方修正しましたが、日本については政府の消費増税対策を考慮し2019年を1.1%、2020年を0.5%とそれぞれ0.2ポイントずつ予想を上方修正しました。
とはいえ、米中貿易問題については、中国製品に対する追加関税の猶予期限が3月1日に控える中、日米通商交渉も早晩本格化するとみられます。また、10月には消費税率が引き上げられる見込みです。しばらく不安定な相場が続きそうですが、過度な業績下振れ懸念が後退すれば、徐々に戻りを探る動きになることも期待されます。
※PBR(株価純資産倍率)は、株価が企業の解散価値である純資産(資産総額-負債総額)を1株当たりに直したBPS(1株当たり純資産)の何倍あるかを表す指標で、1倍割れは株価が解散価値を下回る水準まで下落し、割安であることを意味します。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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