今回のFOMCのポイント

2017/09/21

予想どおりの決定

  • 政策金利は据え置き
  • バランスシートの正常化(縮小)のプロセスを10月から開始
  • バランスシート縮小の継続期間や目標とする資産規模などの詳細については示されず

予想外の政策金利見通し

  • FOMC参加者の政策金利見通しは、2017年1回、2018年3回利上げと、2018年までの見通しは6月から変わらず。予想より短期的な利上げに積極的

その他

  • ハリケーンの影響は一時的
  • 長期的な政策金利見通し、物価見通しは小幅に引き下げ
  • 政策金利のピークは2020年前後とみている可能性
  • 経済成長率見通しは小幅に引き上げ

市場への影響は

  • 12月の利上げ確率は上昇も、市場は経済データ次第とし、まだ完全には織り込んでいない
  • インフレ率が持ち直してくると、一段と年内の利上げを織り込む動きに
  • 政策金利の長期見通しが引き下げられたため、長期金利の上昇は非常に緩やかになる可能性
  • ドル円も緩やかなドル高・円安基調に
  • 緩和マネーの縮小が意識されると、リスク資産の上値が抑えられる可能性も

▣ バランスシート縮小に着手

米連邦準備制度理事会(FRB)は9月19、20日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想どおり、量的緩和政策(QE)で膨らんだバランスシート(米国債などの保有資産)の縮小に着手することを決めました(図表1)。

縮小方法は、6月に公表済みです。どの水準まで戻すかは不明ですが、公表されたペースで減っていくと、2020年末には量的緩和第3弾(QE3、2012年9月~2014年10月)前の水準、2021年末にはQE2(2010年11月~2011年6月)前の水準、2024年にはリーマンショック前の水準に戻ることになります。

FRBとしては、金融政策の正常化(政策金利をより正常な水準に引き上げ、FRBが量的緩和で積み上げた保有資産を減らす措置)をすすめ、将来的な景気後退に備える意図もありそうです。

今回のFRBのバランスシートの縮小着手で、リスク資産の押し上げにも寄与してきた日米欧の中央銀行の緩和マネーの供給が、緩やかながら細ることになります。ただ、米企業などの業績は良好で、緩和マネーに過度に依存する状況ではなくなってきているとの見方もできます(図表2)。

今回の決定を受けた市場の反応は冷静で、2013年に当時のバーナンキFRB議長が、量的緩和第3弾(QE3)の縮小に言及したことを受け、米金利が急上昇したテーパー・タントラムへの懸念は杞憂に終わりました。FRBの事前の市場との対話が上手くいった格好です。

▣ 次の関心は

他方、追加利上げについては予想どおり見送られました。注目の年内の利上げの有無については、FOMC参加者の政策金利見通し(ドットチャート)は1回で6月から変わらず(図表3)。バランスシート縮小の影響や、今度の経済データ次第ですが、市場は追加利上げをある程度織り込む動きになりそうです。

ただ、12月8日には連邦債務上限と暫定予算の期限を迎えます。資金が手当てできず米国債が債務不履行(デフォルト)になる懸念が高まることや、政府機関が閉鎖に追い込まれることには注意が必要です。

また、米金融政策については、12月の利上げとともに、来年2月に任期を迎えるFRB議長の人事も注目されるところです。

※FOMCが6月14日に公表した「政策正常化の原則と計画」より

バランスシートの縮小については当初、米国債は月60億ドル、政府機関債と住宅ローン担保証券(MBS)は合わせて月40億ドルを上限に保有額を減らす。以降3か月ごとにそれぞれ上限を60億ドル、40 億ドル引き上げ、1年後には、300億ドル、200億ドルまで増やす。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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