適切なイールドカーブの居所

2017/08/03

▣ 日銀は、買入オペでイールドカーブをコントロール

日銀は毎月末に「当面の長期国債等の買入れの運営について」を公表しています。その中の「当面の月間買入予定」で、国債買入オペの実施日と、残存期間別の1回当たりのオファー金額(以下、オファー予定金額)が提示されます(図表1)。オファー予定金額は、物価連動債、変動利付債を除き、幅を持ってレンジで提示されます。

市場は、

  • 前月に提示されたオファー予定金額からの増減(月間の買入方針の変更の有無)
  • オファー予定金額の中間値を基準にした実際のオペでオファーされる金額の多寡(基準とされるオペ金額との比較、基準値と同水準なら現状の利回り水準を容認)
  • 実際のオペでオファーされた金額の前回オペからの増減(前回のオペからの微調節)

で、日銀がイールドカーブの水準をどう見ているかを推し量ることになります。利回りが高いなら買入額(オファー金額)を増額、利回りが低いならオファー金額を減額すると考えられます。また、急激な利回り変動に対しては、日銀は利回りを指定し金額無制限で買い入れる指し値オペを実施します。

▣ 足もとのオファー額の増額は一時的

日銀は国内金利の上昇を受け、「残存期間3年超5年以下」、「5年超10年以下」の国債買入オペのオファー金額を、7月の途中から引き上げました。ただ、7月末に発表された8月のオファー予定金額については、7月分からの変更はありませんでした。前回、「5年超10年以下」のオファー金額が引き上げられた際(1月末~2月)には、3月以降のオファー予定金額が引き上げられました。今回、オファー予定金額が変わらなかったことから、日銀は7月途中からの増額を一時的と考えている可能性が高そうです。

▣ 日銀が考える適切なイールドカーブの居所は

日銀が適切と考えるイールドカーブ(利回り曲線)の水準を、これまでの国債買入オペの運用から推し量ると、2年債利回りは昨年11月に実施された指し値オペの水準のマイナス0.09%が上限であり、足元のマイナス0.12%に違和感はなさそうです。

「3年超5年以下」は、7月12日にオファー金額が3,000億円から3,300億円に増額されました(図表2)。8月2日の国債買入オペのオファー金額は3,300億円と前回と変わらず、オファー予定金額の中間値3,000億円を若干上回っています。5年債利回りは、足元のマイナス0.065%程度より若干低いマイナス0.08%~マイナス0.07%程度が適切な水準とみられます。

「5年超10年以下」も、8月2日の国債買入オペではオファー金額が前回と変わらず4,700億円と、オファー予定金額の中間値4,500億円を若干上回る水準(図表3)。長期金利は0.07%前後で推移していますが、もう少し低い0.05%付近を適切な水準とみている可能性があります。

超長期ゾーンについては、「10年超25年以下」のオファー金額は昨年12月に2,000億円に一時的に引き上げられました。すぐに1,900億円に戻ったものの、今年2月に再び2,000億円に引き上げられました(図表4)。「25年超」については、昨年12月、今年2月に一時的に1,100億円から1,200億円に引き上げられました。ただ、3月以降は1,000億円に減額されています(図表5)。

昨年12月の局面での最も高い利回りは、20年債、30年債でそれぞれ0.68%程度、0.83%程度。今年2月は、0.73%程度、0.93%程度。日銀が適切と考えている水準が、超長期債ゾーンについては切り上がっている可能性があります。40年債利回りについては、既に1.0%を上回り、2月の水準に並んでおり、日銀は超長期ゾーンのスティープ化(イールドカーブの急勾配化)をある程度容認しているもようです。超長期債については、今年2月の水準が押し目買いの目安となりそうです。

 図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=9&type=env

 

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