今後の予定と次の米利上げ時期
▣ 「かなり早期」の利上げが適切
米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)が2月22日に、米連邦公開市場委員会(FOMC、1月31日-2月1日)の議事要旨を公表しました。
この議事要旨やFRBの要人発言から窺える、最近のFRBの姿勢は、
- 経済が予想通りかそれ以上進展すれば「かなり早期」の利上げが適切になる
- 政策が後手に回る(利上げが遅れる)のは賢明でない
- 次の景気後退局面に備えて、利下げ余地を確保しておきたい
- FOMC参加者の政策金利見通しである年内3回利上げは妥当
- バランスシートの縮小開始が適切になる時期を再度検討(保有している米国債の償還金などを再投資して、保有資産の残高を維持する政策の停止などを検討)するべき時が来ている
などが挙げられます。
もちろん、雇用の最大化と2%の物価目標への改善が、金融当局者の見通しの軌道から外れずに継続することが、利上げの前提になります(図表1、2)。リスクとしては、トランプ米大統領の財政政策や欧州などの政局不安に加え、ドル高についても警戒している模様です。
また、一部の委員からは、FRBの「緩やかなペース」が「年1、2回の利上げと誤解されている」との懸念が出ているようです。市場の織り込みは、年内2回~2.5回の利上げ(図表3)。FRBは3回の利上げが「緩やかなペース」とみられ、市場とはまだ若干のかい離がある状況です。
▣ 次の利上げ時期は
今後の主な予定は、
- 2月28日、トランプ米大統領の米議会上下両院合同本会議での演説
- 3月10日、米雇用統計
- 3月13日ごろ、トランプ政権が来年度予算(17年10月~18年9月)のたたき台となる予算教書を議会に提出
- 3月14-15日、米FOMC
- 3月15日、米連邦債務上限引き上げ期限
- 3月15日、オランダ総選挙
- 4月23日、フランス大統領選(第1回投票)
- 5月2-3日、米FOMC
- 5月7日、フランス大統領選(決選投票)
- 6月13-14日、米FOMC
トランプ氏は2月9日に、2、3週間以内に驚くべき税制改革を公表すると述べており、合同本会議での演説の内容に注目が集まります。ただ、減税やインフラ投資などの詳細については、予算教書まで待つ必要がありそうです。他方、オランダ総選挙では、移民受け入れ反対や反欧州連合(EU)を掲げる自由党(PVV)が躍進すると、投資家心理が悪化する可能性があります。また、4月、5月に実施されるフランス大統領選に向け、移民抑制やEU離脱を掲げるフランスの国民戦線(FN)のルペン党首勝利の可能性が高まると、金融市場が不安定な動きになることも想定されます。
トランプ氏の税制改革については、法人税や所得税の減税は好感されることが見込まれるものの、輸出で得た収益は課税を免除し、海外から仕入れた製品や部品は費用控除を認めずに課税する「国境調整」については注意が必要です。
FRBは、3月のFOMCでの利上げについては、排除しないという意見があるものの、賃金の上昇が急加速し、インフレリスクが急激に高まらない限り、利上げに踏み切るのは難しそうです。次のFOMCは5月2-3日。ただ、フランス大統領選が4月23日(第1回投票)、5月7日(決選投票)に予定されています。昨年は、6月の英国のEU離脱を問う国民投票を前に、利上げを見送った経緯があります。5月の利上げ確率がやや上昇していますが、6月利上げがメインシナリオとなりそうです。
なお、3月のFOMCでは、イエレン議長の記者会見と経済見通し、政策金利見通しの公表が予定されています。利上げが見送られた場合でも、複数回の利上げに前向きな姿勢が示されることや、FOMC委員の政策金利見通しが引き上げられると、米金利やドルが押し上げられることも想定されます。
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