7月の会合での日銀の政策修正を意識する向きも
▣ イールドカーブの歪みはほぼ解消
日銀が新体制下で政策修正に動くとの、一時市場で高まった観測は後退しています。植田日銀総裁が政策修正に慎重な姿勢を示す中、長期金利の許容上限の0.5%を試す動きは影を潜めており、イールドカーブ(利回り曲線)もスムーズな形状になってきています(図表1)。
▣ まだ市場機能の回復は途上
もっとも、債券市場サーベイでは債券市場の取引の頻度や円滑さを示す機能度判断指数(DI)はマイナス46と、2月調査のマイナス64から持ち直したものの、まだマイナス圏にあり、市場機能が大きく改善したとは言えない状況です(図表2)。
また、長期金利は、昨年2月までほぼ同水準で動いていた10年物スワップ金利をまだ大きく下回っており、健全な金利形成がなされているとも言い難い状況です(図表3)。
▣ くすぶる政策修正への思わく
今月の日銀金融政策決定会合では、日米の金融政策の方向性の違いから円安が進行する中、賃金の上昇やインフレの高止まりを背景に、長期金利をゼロ%程度に誘導する長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)などの政策を修正するとの見方もくすぶります(図表4)。
特に7月の会合では「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)が公表され、日本経済や物価の見通しが示されます。過去、展望レポートが公表されるタイミングで政策変更が行われる傾向があったことも、政策修正への思わくを高めている模様です。仮にYCCが撤廃された場合には、国内金利の大幅上昇、円高進行、株価も荒れた動きになることが想定されます。とはいえ、日銀が物価安定目標達成に慎重な姿勢を示す中、現状維持の可能性の方が今のところ高そうです。
他方、米連邦準備理事会(FRB)については、6月の会合では利上げを見送りました。7月の会合では再び利上げに動くことがほぼ確実視されていますが、その後の追加利上げの有無に関心が集まります。
7月25日、26日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、27日、28日に日銀金融政策決定会合を控え、内外の金融市場はやや神経質な動きが続きそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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