米政策金利高止まりを警戒

2022/09/29 <>

▣ 米長期金利が一時4%まで上昇

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に大幅利上げを織り込む形で3.5%台半ばまで上昇していた米長期金利が、FOMCを受け一段と上昇する動きになり、一時4%を付けました(図表1)。

ただ、英中銀が市場安定のため英国債を臨時で買い入れる緩和的な措置を発表したことを受け、過度な金融引締めへの警戒が後退し、28日には米長期金利の上昇が一服した格好となりました。

▣ 市場は政策金利の高止まりを予想

米短期金融市場ではFOMC参加者の政策金利見通しのターミナルレート(最終到達地点)が4.5%程度まで引き上げられるとの織り込みが進んでいたものの、2023年末が4.625%と市場予想を上回りました。2024年末も3.875%と、6月の見通しの3.375%から引き上げられました(図表2)。2025年末には2.875%まで低下する見通しで、2024年には3回の利下げ、2025年には4回の利下げ予想となっています(1回の利下げ幅を0.25%と想定)。

一方、市場ではFOMCを受け、2023年末まではFOMC参加者の見通しを織り込んだものの、2024年は2回の利下げ、2025年は利下げなしと、FOMC参加者の見通し以上に政策金利の高止まりが長期化するとの織り込みとなったことが、FOMC後に米長期金利を大きく押し上げた一因とみられます。

▣ 市場の織り込みがFOMC参加者の政策金利見通しに収れんしていくか

足元の市場では、英中銀の緩和措置を受け、2023年前半まで利上げが継続するものの、後半には利下げもあり得るとの織り込みに変わっています。ターミナルレートも4.5%程度の織り込みです。ただ、2023年は1回程度、2024年も1回程度の利下げにとどまり、2025年は利下げなしの織り込みとなっています。

市場は積極的な利上げによる景気悪化という長期金利の下押し材料は横に置き、政策金利の高止まりを引き続き意識しているとの見方もできそうです。

2024年以降も政策金利が高止まりするとの織り込みが、FOMC参加者の見通しに収れんしていくと、米長期金利が3%台前半に戻ることも想定されます。

とはいえ、インフレが明確にピークアウトしたとの認識が広がり、米連邦準備理事会(FRB)による利上げのペースが緩和するまでは、米金融市場は不安定な状態が続く可能性があり注意が必要です。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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