米国で高まるインフレ懸念と早期利上げ観測
▣ インフレ圧力の長期化観測が強まる
サプライチェーン(供給網)のボトルネック(制約)、労働市場のひっ迫、また超緩和的な金融政策や財政政策などを背景に、米国のインフレ圧力がこれまでの想定より長期化するとの観測が、米金融市場で強まっています。
イエレン米財務長官は、供給面での制約や米労働市場のひっ迫などのコロナ禍に起因する問題の改善に伴い、インフレが鈍化するのは2022年後半と、物価上昇率の高い状態が来年半ばまで続くとの見通しを示しています。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は足元のインフレについて「一時的」との見方は変えていないものの、供給面での制約悪化に懸念を示しています。
▣ 期待インフレ率が軒並み上昇
米金融市場(物価連動債)が織り込む期待インフレ率は、一時4%に迫った1年物は26日には3.3%台まで低下しているものの、それより長い期間については軒並み上昇しており、5年物で3.0%弱、10年物で2.7%弱まで上昇しています(図表1、2)。
▣ 早期利上げ観測も強まる
インフレ懸念の高まりとともに、FRBによる早期の利上げ観測が強まっています。米短期金融市場が織り込む来年9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までの利上げ確率は80%を、また来年中に2回利上げされる確率は70%を超えてきています(図表3)。
FRBが今年11月にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始した場合には、月150億ドルのペースで買入れ額を減額していくと、来年6月に終了します。テーパリング終了とさほど間を置かず、利上げが開始されるとの織り込みです。
▣ 米債券市場は織り込み済みか
米10年債利回りについては一時1.70%程度、また米5年債利回りは1.24%程度まで上昇し、11月中のテーパリング開始や来年中の2回の利上げをほぼ織り込んだとみられます(図表4)。来年中の利上げ回数がさらに増える、もしくはFOMC参加者の政策金利の長期見通しが引き上げられない限り、一段の米金利上昇は限定的となりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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