IMF世界経済見通しメモ(2021年10月)
― 2021年は小幅に下方修正、2022年は据え置き ―
国際通貨基金(IMF)は10月12日、最新の経済見通しを発表しました。2021年の世界の成長率見通しを5.9%と、7月の予測より0.1ポイント引き下げ、2022年については4.9%と据え置きました(世界および主要国の見通しは図表1、2を参照)。
2021年については、サプライチェーン(部品などの供給網)の混乱などの理由で先進国の成長率が下方修正されたことや、パンデミック(新型コロナウイルスの世界的大流行)の状況悪化を主要因として低所得発展途上国の成長率予測が引き下げられたことを反映し、下方修正したとしています。
▣ 日米中も下方修正
米国についてはサプライチェーンの混乱や消費の減速を、日本については7月から9月にかけての緊急事態宣言を、中国については公共投資が予想以上に縮小していることを今年の成長率見通しの引き下げの理由として挙げています。
なお、今回の成長率見通しについても、バイデン大統領が提唱するインフラ投資計画と社会保障拡充計画が議会で承認されることや、今年6月に稼働を始めた欧州連合(EU)の「次世代EU(NextGenerationEU)」と呼ばれる復興基金の円滑な進展を見通しの前提にしています。
2022年以降については、中期的には世界経済は緩やかに減速するものの、米国の追加政策支援を前提に、先進諸国の総GDP(国内総生産)は2022年にはパンデミック前のトレンド軌道を回復する一方、中国を除く新興市場国や発展途上国の2024年の総GDPはパンデミック前の予測を大幅に下回る見込みとなっています。
▣ インフレ率は上振れするリスクが大きくなっている
今回のIMF世界経済見通しでは、インフレ率の上昇はこの後数か月間続き、2022年半ばにはパンデミック前の水準に戻る可能性が高いと予測しているものの、インフレ加速のリスクはなおも残ると、IMFのエコノミストは警戒しています。
またIMFは、パンデミックが引き起こした需要と供給のミスマッチが予想より長引くことがあれば、物価上昇圧力の持続やインフレ進行の見通しにつながり、先進国で想定よりも早い金融正常化を促すことになる可能性があると指摘しています。
また、雇用率が低迷する中でインフレが進行し、インフレ期待が不安定化するリスクが具体化してきた場合には、仮にそれが雇用回復を遅らせることになるとしても、金融政策を引き締めて物価上昇圧力に先んずる必要があるかもしれないとしています。
世界経済は回復基調が続いているものの、今後、インフレが長引いた場合には、欧米の中央銀行は難しい政策運営を求められる可能性がありそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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