IMF世界経済見通しメモ(2020年10月)

2020/10/16

― 2020年は上方修正、2021年回復もその後は低迷 ―

国際通貨基金(IMF)は10月13日、最新の経済見通しを発表しました。2020年の世界の成長率見通しを6月の予測より上昇修正する一方、2021年については若干下方修正しました(世界および主要国の見通しは図表1、2を参照)。

公表文の主なポイントは以下のとおりです。

  • 2020年の景気後退が6月の予測に比べて若干緩やかになるものの、依然深刻。
  • 2020年の上方修正の背景:
    • 主要先進国における4-6月期の国内総生産(GDP)実績値が予測されたほどのマイナスとはならなかったこと
    • 中国の成長回復が予想以上に強力であったこと
    • 7-9月期に景気回復が加速する兆候が見られること
    • 財政や金融、規制の面で大規模かつ迅速で過去に例を見ない対応
  • 一方、新型コロナウイルスの感染者が急増している一部の新興市場国・発展途上国では見通しが著しく悪化。
  • その結果、中国を除く新興市場国・発展途上国では、パンデミック前の予測経路と比べた2020-21年のGDP減少幅が先進国よりも大きくなると予測。
  • 先進国では概して、債務が多く借入コストが高いことによる制約がある国と比較して、対GDP比でより大きな直接支出と流動性支援を提供できている。
  • 一方、こうした制約がある国では、危機対策の優先順位付けを行い、対象の限定が不十分な助成金を削減することによって、緊急の支出ニーズのための余地を生み出すことが必要。
  • 2021年の下方修正の背景:
  • 2020年の景気後退が予想より緩やかになりそうなこと
  • 社会的距離の確保が続くと予想されること
  • 中期的な成長予測では、依然として不確実性が大きい中で、2021年に世界の景気は回復が予測されるものの、その後成長は顕著に減速すると見られる。
  • 先進国でも新興市場国でも、2022年以降のGDPはパンデミック前の予測を大幅に下回る可能性が高い。

IMFはベースライン予想を、「社会的距離の確保が2021年に入っても続くものの、ワクチン接種が広がり、治療法が改善するなかで徐々に解消していく」と想定しています。コロナの収束が早まると2021年には0.5%ポイント弱、2022年には1.2%ポイント弱、基本シナリオの世界の成長率を押し上げるとしています。

一方、ウイルスの勢いが再び強まる、治療法やワクチンの開発に予想より時間がかかると予想より経済活動が低迷する可能性を指摘しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちらのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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