景気、株価が米大統領選を左右

2020/09/07 <>

▣ 景気が選挙結果を左右

米国では民主党全国大会でのジョー・バイデン氏に続き、共和党全国大会ではドナルド・トランプ氏が大統領候補の指名を受諾し、大統領選が本格化しています。今後は、9月29日、10月15日、10月22日の大統領候補討論会を経て、11月3日の大統領選投票日を迎えます。

トランプ氏は再選を目指すことになりますが、1980年以降では現職が再選したのは6回中4回で、現職が有利と言えそうです。再選に失敗したのはカーター大統領とブッシュ(父)大統領ですが、ともに任期中に景気後退に陥ったことが敗因の大きな一つに挙げられます(図表1)。

米国では今年2月に2009年6月から続いた過去最長の景気拡大局面が終了し、新型コロナウイルス感染拡大を受けてリセッション(景気後退)入りしました。もっとも、景気後退は短期間で終了するとみられ、カーター大統領が再選に失敗した1980年、ブッシュ(父)大統領が失敗した1992年とは状況がやや違います。また、米国株は先週後半には一旦調整が入りましたが、それまではS&P500種株価指数やナスダック総合指数が過去最高値を連日で更新するなど、経済のV字回復を先取りする動きがこれまでのところ続いています。

▣ 株価をトランプ大統領の支持率が後追い

現職が再選を目指す大統領選の年の株価の動きはまちまちで、株価の上昇が大きく選挙を左右するとは言えません(図表2、3)。とはいえ、トランプ大統領の支持率は株価の回復にやや遅れて上昇してきており、株価の上昇はトランプ氏にとって有利に働きそうです(図表4)。

大統領選の支持率は現時点ではまだバイデン氏がトランプ氏を上回っていますが、この堅調な株価をトランプ氏の支持率が後追いする傾向が続くと、バイデン氏の優位との見方が揺らぐ可能性もあります(図表5)。前回のクリントン氏との番狂わせも記憶に新しいところです(図表6)。

トランプ陣営とバイデン陣営の間では、非難の応酬が続いていますが、トランプ政権は景気浮揚だけでなく株価の押上げにも注力するとみられ、高値圏にある株式市場を下支えしそうです。

ちなみに、現職が再選を目指した大統領選の年の11月、12月のNYダウは、1980年以降すべて上昇しています。現職の当落にかかわらず、経済政策への期待などから、選挙後の米国株は底堅い動きが期待されます。

 

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