原油価格の見通し

2016/05/25

原油は急反発

年初には、世界のリスクとして中国景気と原油安が挙げられました。しかし、いずれも騒ぎすぎだったようです。特に原油は2月に1バレル=20ドル台をつけた後、50ドル近くへ上がっています。

とはいえ、原油の動きには引き続き要注目です。各国の物価動向や金融政策、為替相場などに大きな影響を与えるからです。原油価格の予想は難しいものの、基本的な傾向を思い描くことはできるでしょう。

供給減と需要増

最近の値上がりは、多くの産油国において、原油生産の減少をもたらす事件が重なったことが直接の理由です。カナダでは、大規模な山火事によりオイルサンド(油分を含む砂岩)の採掘に支障が生じました。アフリカ最大の産油国であるナイジェリアでは、反政府勢力が石油関連施設を激しく攻撃しました。

内戦が続くリビアでは、港湾封鎖が原油流通を妨げています。ベネズエラでは、国有石油会社の経営が悪化し、生産が滞っています。米国では、原油安を受けシェールオイル業者の生産停止が増えました。

需要面でも、原油高を促す要因が見受けられます。米国では、ガソリン安により、燃費の悪い大型車が売れています。中国では、緩やかな景気回復に伴い1~4月の原油輸入量が前年比約12%増えました。インドでは、高成長を背景に今年、日本を追い越して米国、中国に次ぐ原油消費国となる見込みです。

現在の価格はおそらく適正

供給が圧迫され、かつ、需要が底堅いことから、原油の世界的な供給過剰はひとまず和らいでいます。よって、極端な原油安に戻る可能性は低いでしょう。しかし、一方的な値上がりも考えにくいでしょう。

というのも、カナダの山火事をはじめ、生産減少要因の多くは一過性のものとみられるからです。また、サウジアラビアやイラン、ロシアの原油増産意欲は衰えていません。石油輸出国機構(OPEC)は6月2日に総会を開きますが、最近の原油価格反発もあり、増産凍結で合意する可能性は低いでしょう。また、50ドルを超える価格で安定すれば、多くの米シェール業者が生産を再開する見込みです。

さらに、世界経済の成長鈍化やエネルギー効率の向上に鑑みると、原油需要の長期的な頭打ち傾向に変わりはないでしょう。実際、原油の輸入大国である日本では、すでに輸入量が減りつつあります。

これらより、戦争などがない限り、原油価格は今年40~60ドルを中心に推移すると予想されます。

米国の利上げが市場混乱の引き金に?

問題は、米国の利上げが6月か7月に行われるとの見方が増えてきたことです。原油価格の反発を受け、インフレ見通しが強気化してきたことが背景となっています。そして、米国の利上げが早まればドル高が進むかもしれません。しかしその場合、金融市場では、年初のような不安が再燃する可能性があります。ドル高は、原油安を引き起こす傾向があるためです。

それは、たとえば次のような理屈によります。つまり、原油は通常、ドル建てで取引されますが、米国外から見ると、ドル高は自国通貨建ての原油価格を押し上げます。こうなると購入量(需要)が抑えられ、結果としてドル建ての原油価格が安くなる、というわけです。逆に、最近の原油高(および金融市場の安定)は、ドル安に支えられています。

したがって、米国が利上げを急ぎすぎると、そのような市場の安定が崩れてしまう恐れがあります。そうした意味でも米国には、極めて慎重に利上げ判断を行うことが望まれます。

 

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