西洋の危機感:中国共産党大会をどう見るか?
西洋から東洋へ
21世紀は、米中が覇権を争う時代です。「20世紀の覇者である米国が主導する世界秩序が動揺し、中国に代表されるアジアが経済などで躍進した」というように、未来の世界史教科書には記されるでしょう。
世界経済の中心は西洋から東洋へ、との潮流を、西洋人も痛感しています。そうした危機感から、米英のメディアは、中国などに対するネガティブキャンペーンを行っているように見えます。日本を含むアジアの問題(個性の抑圧など)を強調し、米英の建前である自由な民主主義の卓越性を訴えているのです。
習体制は3期目
10月16日から22日まで、中国で共産党大会が開かれました。5年ごとに開催されるこの重要なイベントは、中国叩きに熱心な米英(およびそれを模倣する日本)メディアによる、格好の標的になりました。
この大会を受け、習近平氏が総書記の3期目(党のトップ、1期は5年)を務めることになりました。就任期間は2期まで、との慣例を破るものです。また、新指導部は習近平派とされる人々で固められました。これらに着目し米英などのメディアは、習氏の独裁体制が強化された、などと批判的に論じています。
「ゼロ・コロナ」
また、米欧などが非難するのは、日本のメディアが「ゼロ・コロナ」と呼ぶ中国の感染症対策です。感染抑止のための厳しい活動制限で中国経済は低迷する、というのが、中国叩きにおける一般的な主張です。
ただ、中国の「ダイナミック・コビッド・ゼロ」は、感染者ゼロではなく、健康被害の最小限化を目指し、検査、隔離、活動制限を機動的に行う、という戦略です。それ自体は、人命を救う観点からは誤りと言えません(図表1)。感染抑止において諦めムードの強い米英などがそれを叩くのは、恥ずべきことです。
台湾併合は悲願
コロナウイルスに加えて米欧や日本のメディアが好む話題として、台湾をめぐる中国の強硬姿勢が挙げられます。たしかに習近平氏も今回の共産党大会で、中国本土・台湾の統一を追求する旨を強調しました。
この点で重要なのは、歴史です。台湾は19世紀終盤まで、中国・清帝国の統治下にありました。しかし日清戦争を経て、第2次世界大戦終結時まで日本に統治されました。19世紀以降の中国没落を、よく象徴する出来事です。そのため、中国の失地回復を掲げる習氏らとしては、台湾併合は譲れない悲願です。
覇権争いは続く
そうした事情を米英の有識者は理解していますが、中国叩きはエスカレートしています。今年10月には米政府が、中国に対する半導体輸出の制限を強化しました。何より、中国の躍進を恐れているからです。
ただし、中国が躍進し続け21世紀の圧倒的な覇権国になるかどうかは、必ずしも定かでありません。労働力人口(図表2)の減少などに伴い、中国の経済成長率は伸び悩む、とみられるからです。よって、21世紀の前半については「米中が並び立ち、覇権争いが続いた」と、後世の歴史書に記述されるはずです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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