この世界の隅々に:コロナウイルス根絶は無理なのか?
予想を超える惨劇
北半球の暑い夏が終わりました。秋そして冬を迎える今後、新型コロナウイルスの感染は爆発的に広がるのでしょうか。その可能性を否定できない以上、一旦緩んだ警戒を、引き締め直さねばなりません。
このウイルスによる死者数は、世界で100万人に迫っています(図表1)。アジアなどで感染が目立ち始めた今年1~2月、これほどの犠牲を予想した人は、ほとんど存在しませんでした。新しいウイルスに対する人間の理解力には、自ずと限界があります。この事実を、まずは謙虚に受け止めるべきです。
基本的な対策が必須
コロナウイルスと気温・湿度の関係も、まだ証明されていません。とはいえ、気温が下がる季節、人間の活動は室内中心となります。そうした状況がウイルスの感染を促進するのは、間違いないでしょう。
それだけに、いままで以上に、対人距離の確保など、基本的な対策が必須となります。また、検査件数は増えましたが(図表2)、これをさらに拡充し、感染者の隔離や感染の可能性がある人の追跡を、より徹底すべきです。この点で日本は後れたため、実態を把握できず、感染不安を払しょくできません。
世界的に感染再拡大
来年夏の東京五輪を本当に開催するのであれば、そのためにも、日本は検査などを徹底し、他国から信頼を得る必要があります。ただし、五輪は世界的なイベントなので、世界各国の感染動向も重要です。
欧米をみると、冬の到来を待たず、感染が再拡大している国・地域が多数あります。欧州ではスペイン、フランス、英国など、米国では中西部などがそれに該当します。アジアでは、インドやインドネシアなどで感染が拡大し、特にインドの新規感染数は、いまや世界最多です(累計では米国に次ぐ第2位)。
春に比べると希望あり
とはいえ、春頃に比べると、各国の反応は落ち着いています。的を絞った対策で感染をかなりの程度抑制できるので、厳格なロックダウンで活動を全面的に制限する必要はない、と考えられているのです。
感染者の治療も、より効率的なものになっています。それらの結果、致死率(死亡者数÷感染者数)は総じて低下しています(ただし「弱毒化」や「集団免疫」の証拠は無い)。また、複数の有望なワクチンが治験(臨床試験)の最終段階に入っており、来年以降、それが普及する可能性も大いにあります。
前向きな改革の契機に
ただ、ワクチンの承認基準は意外に甘く、例えば米国の指針によれば、50%以上の有効性が確認されれば承認されます。よって、ワクチンの承認・普及でウイルスは消滅、と期待するのは短絡的すぎます。
本来ならば、第1波の襲来時、徹底的な対策でウイルスを封じ込めるべきでした。しかし、日本を含め多くの国がそれを怠ったため、世界の隅々にウイルスが拡散しました。こうなった以上、その根絶は困難です。それを認めた上で、各国には、オンライン化などを推し進める前向きな改革が求められます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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