米大統領選に向かって:「新星」が躍進し、「社会主義者」も大人気

2020/02/12

予備選・党員集会がスタート

米大統領選に向けたプロセスは、恐ろしいほどに長丁場です。本選の投開票日9か月前となった2月、予備選や党員集会が早くも始まりました。金融市場参加者は、それらの結果を静かに見守っています。

予備選などを通じ、二大政党である共和党と民主党が各々の大統領候補者を一本化します。共和党は、現職のトランプ氏でほぼ確定です(正式指名は8月)。一方の民主党は各州の投票結果に基づき、7月に候補者を正式指名します。そして9月以降、両党の候補者が討論会などで激突、となります(図表1)。

「新星」ブティジェッジ氏が躍進

当面の焦点、民主党の指名争いで、ちょっとした波乱が起こっています(大波乱ではない)。まず中西部と東部の州で行われた投票で、38歳の新星、ピート・ブティジェッジ氏が躍進したのです(図表2)。

同氏は極めて優秀な人物で、穏健派(中道左派)とされます。そのメッセージは、右派(保守)か左派(リベラル)か、などで分断された米国の「融和と希望」です。ただ、白人率が高い中西部など以外での人気は、まださほど高くありません。それでもこの勢いに乗れば、指名を勝ち取るかもしれません。

「社会主義者」サンダース氏も大人気

しかし現時点で最有力なのは、自他ともに「社会主義者」と認める、バーニー・サンダース氏です。資本主義の本拠たる米国でこうした人物が特に若者の間で大人気なのは、一見すると驚くべき事態です。

もっとも、同氏は財産共有を説く過激な共産主義者ではありません。公約は国民皆保険や超富裕層増税などであり、それらは理想としては正当です。また、東西冷戦の記憶がない若年層には、社会主義への偏見があまりありません。何より、ウソまみれの世界だからこそ、同氏の誠実さが支持されるのです。

トランプ氏再選の確率が高まる?

ただ、指名争いは以上2名に絞られたとみるのは、時期尚早です。黒人や高齢者に人気のバイデン氏、中間層の支持が厚いウォーレン氏、無尽蔵の資金を持つブルームバーグ氏らは、まだ挽回が可能です。

誰が指名されるにせよ、この大混戦で党内の対立が深まりかねません。それを嫌気し、無党派層が共和党になびく可能性もあります。そうなれば、現在60%以上とみられるトランプ大統領の再選確率は、さらに高まります。同大統領は株価上昇を重視するので、再選は投資家にとってポジティブと言えます。

「スーパー・チューズデー」までは様子見

ただし、金融市場が大統領選に敏感な反応を示すのは、もっと先のことでしょう。予備選が集中する来月の「スーパー・チューズデー」を通過するまでは、指名争いの行方を予想するのが難しいからです。

とはいえ、今までの議論や投票も重要です。特に、ブティジェッジ氏とサンダース氏が先頭に立ったという事実は、米国にも融和への期待や健全な批判精神が残っていることを示しています。そうした米国の実相を浮き彫りにしていくという点で、異様に長いこの選挙戦にも、大きな意味があるのでしょう。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

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