来週の金融市場見通し(2019年1月21日~2019年1月25日)

■来週の見通し

英議会は欧州連合(EU)離脱合意案を否決しましたが、予想どおりとして市場への影響は限定的でした。今後は21日までに代替案策定、29日に採決の予定。3月29日の離脱期日延期との見方も出てきています。来週の日銀金融政策決定会合、欧州中央銀行(ECB)理事会は現状維持の見込み。翌週に米連邦公開市場委員会(FOMC、29-30日)、米中の閣僚級貿易協議(30-31日)を控え、動きにくい相場となりそうです。

◆株価 : 上値をうかがう展開か

日本株は上値をうかがう展開が予想されます。米中貿易摩擦に関しては日本企業にも影響が及びつつあるものの、現在、米中双方が前向きな解決策を探っています。そのため、当面は摩擦緩和への期待が世界の株式市場を支える見通しです。ただ、日米の企業決算へ市場の関心が移りつつある中、世界経済の減速による顕著な業績下振れが相次いだ場合、株価を下押しする可能性もあります。また、21日に発表される中国の経済指標も注目されます。

◆長期金利 : 居所を探る

長期金利はじりじりと低下し0.0%をつけたものの、週末には好調な米経済指標や米国が対中関税引き下げを検討しているとの報道を受けて米長期金利が上昇したことに加え、株価が堅調な動きになったことから、一時0.015%まで上昇しました。来週の日銀金融政策決定会合は現状維持の見込み。あわせて公表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」や黒田日銀総裁の会見などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :  レンジ内で小動き

昨年末に大幅下落した米株の戻り基調に合わせ、若干上昇していた米長期金利は2.8%に乗せられず狭いレンジ内で小動きとなっています。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げに対する慎重姿勢を見せていることなどから、米長期金利の上昇余地は限られており、当面、年初のドル急落の調整局面が継続すると考えていますが、その後は再び緩やかながらドル安円高が広がりやすい地合いと考えます。

◆Jリート :  上値を探る

東証REIT指数は、上昇が続いたことから利益確定売りが広がり一時1,786ポイントまで下落したものの、長期金利が0.0%付近の低位で推移する中、相対的に高く安定した分配金利回りに着目した買いなどから下げ幅を縮小し、前週比ではプラスで引けました。12月の投資部門別売買状況で、海外投資家の買いが続いたことや、投資信託の売りが大きく縮小したことは安心材料。底堅い動きの中、上値を探ることになりそうです。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 1月23日(水)午後に結果発表

今回も金融政策の現状維持が予想されます。ただ、日銀の物価見通しについては、下方修正が見込まれます。

昨年12月の消費者物価指数(生鮮食品除く)は、前年比プラス0.7%へ低下しました。昨秋からの原油安もあり、今年は0%台半ばでの推移が予想されます。昨年10月時点の日銀の物価見通しは2019年度に関しプラス1.4%でしたが、これを大幅に下回りそうです。ただ、物価の押し上げに必要な追加緩和の手段はほとんど残っていないため、金融政策は当面、現状維持が予想されます。

米耐久財受注(12月) 1月25日(金)午後10時30分発表

昨年11月の米耐久財受注は、前月比4.3%減(2018年1月以来の減少)と大幅に落ち込んだ10月からは一転、0.8%増とプラスに転じたものの、市場予想を下回りました。また、設備投資の先行指標となる航空機など輸送機器を除く非国防資本財(コア資本財)受注は同0.6%減と予想を大きく下回りました。

コア資本財の減少は直近4か月で3度目となり、昨年末から年初にかけての株価急落に反映されているように、今後の米中貿易摩擦の悪影響を懸念し、企業の設備投資や製造業の活動が顕著に減速する可能性が徐々に高まっていると考えています。

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