来週の金融市場見通し(2019年1月14日~2019年1月18日)
■来週の見通し
米金融政策への警戒感の後退や米中の貿易協議進展への期待などから、投資家心理がやや改善しています。来週15日には欧州連合(EU)離脱合意案の賛否を問う英議会の採決が予定されています。否決される可能性が高そうですが、その場合には離脱期限が延期され、「合意なき離脱」が一旦回避されるとの見方も。他方、米政府機関の一部閉鎖の影響や米企業の10-12月期決算なども確認していく必要があります。
◆株価 : 神経質な展開に
日本株は、底堅いながらも神経質な展開が見込まれます。米国の利上げ観測後退および米中貿易摩擦の緩和期待を主因に、昨年12月に比べ、市場心理は総じて改善傾向にあります。ただ、日経平均は昨年12月25日の安値から1,000円超上昇しており、様子見姿勢が強まる場面もありそうです。注目材料としては、為替動向や米国の10-12月期企業決算のほか、米政府機関の一部閉鎖や英国の欧州連合離脱をめぐる動きなどが挙げられます。
◆長期金利 : もみ合い
4日にマイナス0.05%まで低下した長期金利ですが、米長期金利の上昇や国内株の上昇を受けて、一時0.03%まで上昇しました。ただ、週末には0.01%まで低下し、方向感は出ず。米長期金利の低下が一服していることから、マイナス金利を深掘りする動きはやや遠のいた格好です。日銀が国債買入れオペの減額などに動かないことから、米金利や株価の動きをにらみながら居所を探ることになりそうです。
◆為替 : ドルの上値は限定的
昨年末に大幅下落した米株が戻り基調にあること、それに合わせ米長期金利も若干上昇していること等がドル円の下支え要因となっています。しかしここからの米株の戻し幅は不透明であり、また、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げに対する慎重姿勢を見せていることなどから、米長期金利の上昇余地も限られており、年初のドル急落の調整が終了した後は再び緩やかながらドル安円高が広がりやすいと考えています。
◆Jリート : 利益確定売りに押されながらもしっかり
Jリートは株価が大きく持ち直すなど、投資家心理の改善を背景に、5営業日続伸しました。12月末の東京都心のオフィス空室率は5か月連続で低下、平均賃料は60か月連続で上昇しました。長期金利がゼロ%付近で推移する一方、Jリートの予想分配金利回りは4.0%をやや上回る水準。利益確定売りに押される場面も想定されますが、良好なオフィス市況が続く中、相対的に高い利回りに着目した買いなどから底堅い推移が見込まれます。
■来週の注目点
消費者物価指数(12月、全国) 1月18日(金)午前8時30分発表
昨年11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比プラス0.9%と、10月のプラス1.0%から伸び率が縮小しました。原油価格の急落に伴うエネルギー価格の下落を主因に、12月はプラス0.7%程度へ、さらに鈍化する見込みです。
原油価格は足元やや持ち直しているものの、昨秋に比べ30%ほど安い水準にあります。また、米国の利上げ鈍化などを受け、今年はドル安・円高傾向(輸入物価の下落要因)が予想されます。これらより、コアCPIの伸び率は今年、0%台半ばまで縮小する見通しです。
米小売売上高(12月) 1月16日(水)午後10時30分発表
米国の小売売上高は11月に前月比0.2%増と市場予想を上回り、個人消費が堅調に推移していることが示されました。特に飲食店、自動車ディーラー、ガソリンスタンドなどを除くコアの売上高は同0.9%増と市場予想の2倍を超える伸びとなりました。
米国では個人消費主導で景気拡大が継続していますが、昨年末のクリスマス商戦は特にオンライン販売を中心に堅調な結果となりました。市場では年後半の米景気減速が懸念されているものの、足元は引き続き底堅い消費動向が想定され、12月の小売売上高は前月比0.3%増程度を見込んでいます。
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