来週の金融市場見通し(2018年12月10日~2018年12月14日)

2018/12/07

■来週の見通し

米中首脳会談では、米国が来年1月の中国からの輸入品への関税引き上げを90日間猶予しました。内外の金融市場に一旦安心感が広がりましたが、カナダが米国の要請を受け、中国の華為技術(ファーウェイ)の副会長を逮捕したことから、再び警戒感が広がっています。来週は、米中の動向や、小売売上高など中国の経済指標を確認しながら、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を待つことになりそうです。

◆株価 : 様子見ムードに

日本株は様子見ムードとなりそうです。12月1日の米中首脳会談では追加関税の保留で合意に至ったものの、貿易摩擦の行方は依然として不透明です。また米国債の利回り低下を受け、米国の景気後退懸念が浮上しています。日本についても、14日に発表される日銀短観で景況感の悪化が示される見通しです。これらを背景に投資家の慎重姿勢が広がっているものの、日本株には割安感が強まっているため、底堅さを示す場面もありそうです。

◆長期金利 : 居所を探る

日銀が国債買入れオペの運営方針で、残存期間「10年超」の買入れ頻度を現在の月5回から月4回に削減しましたが、市場の反応は限定的でした。米利上げの早期打ち止め観測や、株価の下落を背景に、長期金利は一時0.04%と約4か月半ぶりの水準まで低下しました。日銀の国債買入れの減額にあまり反応しなくなっていることから、しばらくは、株価や米金利の動向を確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : 調整継続でドル円は下値模索か

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続観測を背景に、基本的にはドル円の下値は限られるでしょう。しかしパウエルFRB議長のハト派発言以降、市場では利上げ中止が近いとの思わくが高まっており、米長期金利は3%を割れて低下傾向にあります。また、米中貿易摩擦は一段落した状況ですが、今後の展開は引き続き予断を許しません。これまでのドル上昇の調整局面はしばらく継続し、110円程度までの下落は想定範囲内です。

◆Jリート : 値固め

東証REIT指数は、高値圏でのもみ合いの中、しっかりした動きが継続。利益確定売りに押される場面があったものの、日米の長期金利が低下する中、予想分配金利回りの高さに着目した買いが下支えした模様です。株式市場がやや不安定な動きになっていることは懸念材料ですが、長期金利が低位で推移していることは安心材料。Jリートの予想分配金利回りは4%強と引き続き高い水準にあり、1,800ポイント台での値固めが期待されます。

来週の注目点

日銀短観(12月調査) 12月14日(金)午前8時50分発表

9月調査の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)は前回調査比2ポイント悪化のプラス19と、3期連続で悪化しました。今般発表される12月調査についても、小幅な悪化が見込まれます。中国や欧州など海外の景気減速が輸出関連企業の景況感を圧迫している模様です。また、国内消費の伸び悩みなどを受け、非製造業の景況感も悪化が見込まれます。一方、設備投資計画については底堅いとみられるものの、世界的な貿易摩擦懸念などを背景に今回、下方修正される可能性があります。

米消費者物価指数(11月) 12月12日(水)午後10時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は10月に総合CPIで前年比2.5%上昇と市場の予想通りとなる一方、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.1%の上昇と市場予想を下回り、前月より伸びがやや鈍化しました。

米国では個人消費を中心に景気拡大が継続中です。ここのところエネルギー価格が上昇しており、総合CPIを押し上げていましたが、足元の原油価格の下落を受けてその動きは一段落しそうです。現状、インフレが行き過ぎる気配はなく、インフレ率はおおむね米金融当局の目標である2%近辺で推移しそうです。11月は総合で前年比2.2%、コアは同2.2%程度の上昇を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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