来週の金融市場見通し(2018年11月26日~2018年11月30日)

■来週の見通し

11月末から2日の日程で開催される主要20か国・地域(G20)首脳会合にあわせ、米中首脳会談が行われる予定です。貿易摩擦問題で大きな進展は期待できないとの見方が多いものの、会談に対中強硬派のナバロ国家通商会議(NTC)委員長を同席させないと伝わるなど、対立解消に向けた動きも出ています。来年の米利上げペースをめぐり、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演も注目されます。

◆株価 : 上値の重い展開に

日本株は上値の重い展開が予想されます。世界的な景気減速懸念、米中貿易摩擦、英国・イタリアの政治不安などを背景に、慎重ムードが続く見込みです。とはいえ11月末の米中首脳会談では、通商交渉の大枠に関し合意に至る可能性があります。また、米国の利上げペースは来年に鈍化するとの見通しが広がりつつあります。これらを踏まえれば日本株が下落し続けるとは考えにくく、日経平均株価は当面、2万1千円台の推移となりそうです。

◆長期金利 : 低位もみ合い

長期金利は0.10~0.15%がレンジの中心とみられていましたが、日銀が国債買入れオペの金額を減額せずに据え置いているため、少なくとも月内にはオペ減額はないとの観測が広がり、0.09%と8月以来の低水準まで低下しました。米利上げ観測が後退し、米長期金利が3.0%台まで低下していることも、国内金利を押し下げている模様です。引き続き、米金利動向や、日銀の国債買入れオペを確認しながら、もみ合う動きとなりそうです。

◆為替 : 調整局面継続か

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続観測から、米国長期金利は3.1%近辺で推移しており、基本的にはドル円を下支えすると思われます。しかし米長期金利が再び3.2%を超えて上昇する要因は現在のところ乏しく、ドル円は上昇力を欠いています。米中貿易摩擦問題について市場は11月末の米中首脳会談に注目しており、しばらくは上下ともに動きにくそうです。引き続きレンジ内での調整局面が継続すると思われます。

◆Jリート : 上値を探る

東証REIT指数は、高値圏での堅調な動きが継続し、1年8か月ぶりの高値まで上昇しました。長期金利が低位で推移する一方、株式市場が不安定な動きになる中、価格の安定性や相対的に高い分配金利回りに着目した買いが続いている模様です。また、東京都心部などのオフィス空室率低下を背景とした賃料上昇期待も、Jリートの押し上げ材料。利益確定売りに押されながら、上値を探る動きが継続しそうです。

来週の注目点

鉱工業生産指数(10月、速報値) 11月30日(金)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は9月に前月比0.4%低下し、102.9(2015年=100)となりました。これは今年1月(100.8)以来の低水準です。地震など自然災害による影響が指摘されているものの、世界経済の鈍化傾向も生産を押し下げていると考えられます。業種別では、特に輸送機械工業(自動車など)がマイナスとなっています。10月の生産については前月比プラスに転じる見込みですが、出荷が低迷しており在庫調整が必要であることも踏まえれば、生産増は勢いを欠くものにとどまりそうです。

米個人消費支出(10月) 11月29日(木)午後10時30分発表

9月の米個人消費支出(PCE)は、市場予想どおり前月比0.4%増と7か月連続で増加し、個人所得は同0.2%増と市場予想をやや下回りました。PCE価格指数は前年比2.0%上昇となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標と一致しました。景気拡大が継続する中、自動車などの耐久財支出が増加しています。税制改革を受けて基本的に個人消費支出は堅調ですが、若干貯蓄率が低下しているのが懸念材料です。10月の個人消費支出は前月比0.4%程度、個人所得は同0.4%程度、PCE価格指数は前年比2.0%程度の上昇を想定しています。

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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