来週の金融市場見通し(2018年11月19日~2018年11月23日)

■来週の見通し

英国では、欧州連合(EU)離脱協定案が一旦閣議決定されたものの、これに抗議して閣僚の辞任が相次いでおり、メイ首相に対する不信任投票の動きも出てきています。他方、今月末に米中首脳会談を控え、「米国と中国が、20か国・地域(G20)首脳会議で貿易戦争の休戦で合意する努力を強めている」と報じられましたが、合意できるかはまだ不透明な状況です。来週も、欧州や米中にらみの展開が続きそうです。

◆株価 : 方向感を欠く動きを予想

日本株は方向感を欠く動きが予想されます。中国・ユーロ圏・日本の景気減速懸念や米ハイテク企業の業績に関する先行き不安が、引き続き日本を含む世界の株価を圧迫しそうです。一方、米中の貿易摩擦が緩和されるとの期待が株価の下値を支える見通しです。ただ、貿易問題については、11月末に実施される見込みの米中首脳会談を待つ必要があります。それをめぐる思わくが交錯する中、投資家の慎重姿勢は当面続くとみられます。

◆長期金利 : もみ合い

米アップルの「iPhone(アイフォーン)」需要後退への懸念や米中貿易摩擦への警戒感、また英政局の不透明感などから、内外の株式市場が不安定な動きになる中、安全資産とされる国債は買いが優勢。長期金利は週末には一時0.10%まで低下しました。もっとも、日銀がなし崩し的に国債買入れを減額(ステルス・テーパリング)する中、長期金利0.10%割れはやや低下し過ぎの水準。海外情勢などをにらみながら、もみ合う動きになりそうです。

◆為替 : 円安地合いもドルの上値は重そう

米連邦準備制度理事会(FRB)が「一段の利上げが正当化される」としており、市場では利上げ継続が意識されています。米国長期金利は3.1%近辺で高止まりしており、ドル円を下支えすると思われます。しかし利上げペースがさらに加速する状況ではなく、114円台は重そうです。また、「ねじれ議会」となったことで財政悪化懸念も後退しています。しばらくはレンジ内での調整局面が継続すると思われます。

◆Jリート : 利益確定売りに押される可能性も

株式市場が不安定な動きになる中、利益確定売りに押されながらも総じて堅調な地合いが継続し、15日には東証REIT指数は1,794ポイントと、4か月半ぶりに年初来高値を更新。価格の安定性や相対的に高い分配金利回りに着目した買いが続いている模様です。長期金利が低下していることも安心材料です。利益確定売りが優勢になる場面も想定されますが、予想分配金利回りは4.1%強と相対的に高い水準にあり、底堅い動きが見込まれます。

来週の注目点

貿易統計(10月) 11月19日(月)午前8時50分発表

貿易収支は9月に1,313億円の黒字となりました。ただ、輸出についてはアジア向けが増加した一方、北米向け・西欧向けが減少し、全体では前年比1.3%減となりました。商品別では自動車輸出の停滞が目立ちます。7-9月期の国内総生産(GDP)でも輸出が前期比1.8%減と、鈍化傾向が鮮明です。10月以降においても、中国経済の減速や米自動車販売の減少などを背景に、輸出の伸び悩みが示される見通しです。とはいえ、原油価格の下落を受け輸入額も抑制される見込みであることから、貿易収支が大幅な赤字基調となる可能性は低いとみられます。

ユーロ圏製造業PMI(11月) 11月23日(金)午後6時発表

10月のマークイットユーロ圏総合PMIは53.1と前月より低下し、市場予想より大きく下振れしたことで、ユーロ圏経済が失速しつつあることを示しました。また、製造業PMIも52.0と弱く、低下基調を脱することはできませんでした。同指数構成項目の一つである製造業期待指数は過去6年間で最低となっており、年初来進んでいる製造業の減速は一時的という見方もあったものの、第4四半期に入っても継続していると思われます。特に輸出向け新規受注指数は景気の拡大・縮小の分岐点である50を割り込んでいることから、外需の弱さが目立ちます。11月の両数値とも低下傾向継続と思われます。

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