来週の金融市場見通し(2018年10月15日~2018年10月19日)

■来週の見通し

今週は、米長期金利の上昇や米中貿易摩擦への警戒などから、内外の金融市場が不安定な動きになりました。来週は15日前後に、米財務省が半期に一度の為替報告書を公表する予定です。中国を為替操作国と認定した場合には、さらなる制裁の可能性が高まり、投資家心理を一段と冷やすことも想定されます。本格化する米企業の決算発表に加え、米国の小売売上高、鉱工業生産なども確認したいところです。

◆株価 : 持ち直しの動きを予想

日本株は持ち直しの動きが予想されます。最近の世界同時株安は米国の長期金利上昇などがきっかけとなったものの、インフレは特に過熱していないため、さらなる金利上昇は限定的とみられます。加えて、本格化しつつある米国の企業決算で好結果が示されれば、米国や日本の株価を押し上げると見込まれます。ただ、株価が一旦急落したことから投資家心理が慎重化しているため、一方的な株価上昇は期待しにくいと考えられます。

◆長期金利 : 狭いレンジ継続

国内の長期金利は、米長期金利の上昇を受け0.155%まで上昇したものの、世界的な株価急落を背景に、債券市場は投資家のリスク回避の買いが優勢になり、一時0.14%まで低下しました。米長期金利が落ち着いてきていること、日銀の国債買入れオペがオファー金額の減額なく実施されていることは安心材料。日銀の長短金利を操作するイールドカーブ・コントロールによる管理が続く中、0.15%前後の狭いレンジでの動きが続きそうです。

◆為替 : ドル下値限定ながらも調整継続か

堅調な米国景気を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に引き続き12月も利上げを実施すると想定しています。米長期金利は上昇基調にあり、基本的にはドル円の堅調地合いは継続すると思われます。しかしこれまでの上昇が急だったこと、米中間で貿易摩擦問題に加え政治的な軋轢が起こっていること、米株が調整局面にあることなどリスク要因があり、しばらくはドル円も114円を上限に調整局面が継続すると考えています。

◆Jリート : 底堅い動きが継続

国内株の下落を受け、安定した分配金利回りが期待できるJリート市場に資金を避難させる動きに加え、国内金利の落ち着きを背景に、底堅い動き。ただ、週末は株価が持ち直す一方、Jリートは利益確定売りが優勢になり、前週比ではわずかに下落しました。9月の投資主体別売買動向では、投信が1年半ぶりに買い越しに転じたことは安心材料。8月は売り越しの海外投資家も買い越しに。一進一退の中、上値を探ることになりそうです。

来週の注目点

消費者物価指数(9月、全国) 10月19日(金)午前8時30分発表

全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は8月に前年比プラス0.9%となりました。原油高に伴うガソリン価格の上昇などを背景に、9月についてもプラス0.9%程度が見込まれます。

ただ、生鮮食品とエネルギーを除くベースでは9月にプラス0.4%と、小幅な上昇にとどまっています。そのため、物価上昇の基調は依然として鈍いと判断されます。よって、日銀の物価見通し(2018年度:プラス1.1%、2019年度:プラス1.5%(消費税率引上げの影響を除く))は、いずれ下方修正が必要になりそうです。

米小売売上高(9月) 10月15日(月)午後9時30分発表

米国の8月の小売売上高は前月比0.1%増と市場予想(同0.4%増)を下回りました。特に自動車・同部品販売が3か月連続で減少したことが主要因です。

米国では個人消費中心に景気拡大が継続していますが、ここのところ自動車販売や衣料品の売り上げがやや減少傾向にあります。一方、ガソリン価格上昇を反映してガソリンスタンドは売り上げが増加しています。9月は8月の反動も想定され、前月比0.7%程度の増加が見込まれます。基本的には先に実施された減税政策で消費者の購買意欲が復活しており、今後も小売売上高はプラス域での堅調な推移が継続すると思われます。

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