来週の金融市場見通し(2018年10月8日~2018年10月12日)

■来週の見通し

米国とカナダが、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に合意しました。ただ、米国の中間選挙次第では、米議会の承認が難航する可能性があります。他方、米10年物国債利回りが一時3.23%と、約7年4か月ぶりの高い水準まで上昇し、米金利上昇への警戒が広がっています。来週は米雇用統計を受けた米金利の動きに左右されそうです。

◆株価 : 上値の重い展開か

日本株は上値の重い展開が予想されます。足元、米国を起点として世界的に長期金利が大きく上昇しています。これは各国の経済活動を圧迫する恐れがあるほか、株式から債券への資金移動を促す要因となり得ます。また、米国の金利上昇に伴うドル高により、新興国の通貨不安が拡大する可能性もあります。とはいえ、米国の企業決算(今月半ばに本格化)に対する期待やドル高・円安などが日本株の下値を支える見通しです。

◆長期金利 : 米長期金利にらみ

NAFTAの再交渉合意に加え、イタリア財政への過度な警戒も後退し、国債への逃避需要が弱まったこと、また堅調な米経済を背景に米利上げが意識されていることなどから米長期金利が上昇し、国内の長期金利も一時0.155%まで上昇しました。日銀が国内の長期金利の上昇を容認しているとみられますが、長期金利の上限は0.2%程度で、さらなる上昇は限定的。来週は米金利の動向をにらみながら居所を探ることになりそうです。

◆為替 : ドル底堅いながらも上値限定か

堅調な米国景気を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に続き12月も利上げを実施すると想定されます。米長期金利は3.2%程度まで上昇しており、ドル円の堅調地合いは継続すると思われます。米中の政治・貿易摩擦問題は今後の展開によってはリスク要因であり、また、米雇用統計の結果次第ではドルの上値は限定されることも考えられます。来週は114円前後を上限に、レンジ内での動きを想定しています。

◆Jリート :  長期金利の落ち着き待ち

東証REIT指数は、投資家心理の改善を背景にした買いと利益確定売りが交錯した、一進一退の動きが続いていたものの、週後半は長期金利の上昇を嫌気し、値を下げる動きになりました。米国の長期金利の上昇が警戒される中、米雇用統計などを受け、米長期金利が一段と上昇すると、投資家心理が悪化し、売りが広がる可能性も。国内の金利上昇は限定的とみられますが、米金利が落ち着くまでは積極的には動きにくい相場が続きそうです。

来週の注目点

機械受注(8月) 10月10日(水)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、7月に前月比11.0%増と大幅に増加し、9,186億円となりました。

ただ、これは5月(同3.7%減)と6月(同8.8%減)の反動増という面が大きく、基調は力強さを欠いています。受注残高が積み上がっている上、貿易摩擦への警戒感もあり、8月の機械受注については小幅な減少に転じる見込みです。7-9月期についても前期比減少となる可能性が高く、来年の設備投資減速が示唆されそうです。

米消費者物価指数(9月) 10月11日(木)午後9時30分発表

米国の消費者物価指数(CPI)は8月に総合CPIで前年比2.7%の上昇となり、また、食品とエネルギーを除くコアCPIも同2.2%の上昇と、両数値とも市場予想を下回るとともに、前月より伸びが鈍化しました。

米国では個人消費を中心に景気拡大が継続し、また先の税制改革を受けて家計の可処分所得は増加しています。しかし、居住費等が継続して上昇する一方、被服費が大きく低下し、また、医療費が低下に転じるなど、足元の動きはまちまちとなっており、米国のインフレ軌道には若干足踏みの感があります。9月の総合CPIは前年比2.5%程度、コアCPIは同2.2%程度の上昇とやや控えめな上昇を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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