来週の金融市場見通し(2018年8月20日~2018年8月24日)

■来週の見通し

トルコショック(米・トルコの関係悪化でトルコリラが急落したことを受けた金融市場の混乱)や米中貿易摩擦への警戒が広がりましたが、トルコリラの下落が一服したことや、米中貿易摩擦解消への期待から、投資家のリスク回避姿勢がやや後退しています。22、23日の米中通商協議で、23日発動予定の米中の追加関税措置が回避されるかが注目されます。パウエルFRB議長の講演も確認したいところです。

◆株価 : 慎重に上値を探る

米国を筆頭に世界経済が拡大を続ける中、日本株は慎重に上値を探る動きが見込まれます。13日、トルコの通貨急落を受け日経平均株価も大幅に下落したものの、トルコの問題が世界的な金融危機につながる可能性は低いとみられます。また貿易摩擦をめぐり、22-23日に米中通商協議が行われる見通しとなったことは好材料です。ただ、それが不調に終わった場合には失望を呼ぶ恐れがあるため、協議の行方には注意が必要です。

◆長期金利 : 低位横ばい

長期金利は、週前半は0.095~0.105%、週央以降は0.09~0.10%と、僅かに狭いレンジを下方にシフトしました。トルコショックで株価が大きく下落する局面では長期金利は低下、過度な警戒が後退する場面では長期金利は上昇しましたが、日銀の管理下では長期金利の動きは限定的。トルコ情勢や米中通商協議をにらみながらも、22日、24日の日銀の国債買入れオペの金額が変更なしなら、長期金利はこう着した動きが続きそうです。

◆為替 : ドル円の動きは限定的

堅調な米国景気や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測を背景に基本的にはドル円の下値は限られそうです。しかしひと段落したとはいえ、トルコをはじめ双子の赤字を抱える新興国経済の脆弱性に注目が集まり、通貨市場の変動性が高まっています。また、22-23日に行われる米中通商協議の結果は予断を許さないことから、結果次第ではドル円の上値を抑えそうです。しばらくは111円を中心に、もみ合い相場継続の様相です。

◆Jリート : 引き続き戻りを探る

Jリートは、週初はトルコショックで投資家のリスク回避姿勢が強まったことから下落したものの、その後はトルコリラ安が一服したことや米中貿易摩擦への警戒後退から3日続伸。ただ、週末は利益確定売りに押されました。Jリートの予想分配金利回りは4.15%程度と高い水準。海外機関投資家などが夏季休暇から市場に戻ってくれば、押し目買いも期待できそうです。とはいえ、トルコ情勢や米中通商協議には注意が必要です。

来週の注目点

消費者物価指数(7月、全国) 8月24日(金)午前8時30分発表

全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は6月に前年比プラス0.8%となった後、7月についてもプラス0.8%が見込まれます。

最近の物価上昇は原油高によるエネルギー価格の上昇が主因であるものの、原油価格は足元、軟調な動きとなっています。また、消費者の節約志向が根強いため、大幅な値上げは容易でない状況です。そのため、物価上昇率は今年、来年とも0%台にとどまる見通しです。日銀のインフレ目標(2%)達成が展望できない中、金融緩和策のさらなる調整が今後必要になりそうです。

ユーロ圏製造業PMI(8月) 8月23日(木)午後5時発表

7月のマークイットユーロ圏総合PMIは54.3と市場予想を大きく下回り、景気は一進一退であることを印象付けました。一方で製造業PMIは55.1と先月の54.9から改善し、7か月ぶりの前月比上昇となりました。

最新のPMIデータは企業の景況感が依然として不安定であることを示しています。労働市場の引き締まりは継続していると思われるものの、特に域外からの新規受注は減少傾向にあり、一旦持ち直しの動きが見えた製造業の先行きは不透明感に包まれています。しかし低下ペースは明らかに和らいでおり、各PMIが55前後で推移していることは域内経済が過去の実績と比較して緩やかながら現在も拡大していることを示していると思われます。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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