来週の金融市場見通し(2018年7月30日~2018年8月3日)

■来週の見通し

米欧の首脳会談では、工業製品の関税撤廃や、米国産の大豆やLNGの輸出拡大に向けた貿易交渉を始めることが合意され、貿易摩擦激化への警戒が後退しました。ただ、自動車への追加関税は棚上げ。来週は、日銀金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されています。FOMCは現状維持が見込まれますが、日銀については金融緩和の修正観測が浮上しており、結果が注目されます。

◆株価 : 米国の堅調な実体経済が支え

米国の堅調な経済成長や企業業績を背景に、日本株は上値をうかがう展開が見込まれます。25日には、米国と欧州連合(EU)が貿易障壁削減に向けた交渉を開始することで合意しました。そのため、貿易摩擦をめぐる緊張はひとまず和らいだ格好です。ただ、米中の貿易摩擦はさらに深刻化する恐れがあります。また、日銀の金融政策調整をめぐる観測を背景に円高が進んだ場合、日本株の上値を抑えることになりそうです。

◆長期金利 : 波乱含み

日銀の大規模な金融緩和について、金融仲介機能低下などの副作用に配慮し、修正に動くとの観測が浮上しています。長期金利は23日には0.09%、27日には1年ぶりに0.105%まで上昇したことを受け、日銀は利回りを指定し金額無制限で買入れる指し値オペを実施しました。来週の金融政策決定会合では、長引く緩和の副作用に対する方策が検討されるとみられますが、結果次第では金利が荒い動きになる可能性があり、注意が必要です。

◆為替 : 日銀金融政策決定会合に注目

米国景気の堅調な推移や米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測を背景に、ドル円の下値は限られるでしょう。しかし、日本銀行の金融政策決定会合が30、31日にあり、金融政策の調整に関する会合の結果次第では円高が進む局面も想定されます。また、米国の保護貿易政策をめぐる今後の展開は引き続き予断を許しません。109-112円程度のレンジ内でやや変動性の高い相場展開を想定しています。

◆Jリート : 長期金利にらみ

Jリート市場は、日銀が金融緩和を修正するとの思わくから長期金利が大きく上昇したことを受け、軟調な動きになりました。ただ、週末には長期金利が上昇したものの、買いが優勢になり底堅い動きに。Jリートの予想分配金利回りは4%を超えており、長期金利が多少上昇しても、利回り面での優位性は続くことが見込まれます。とはいえ、来週の日銀金融政策決定会合の結果を受けた長期金利の動きなどを確認する必要があります。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 7月31日(火)午後に結果発表

今回の会合では、異次元緩和の副作用や、それを踏まえた緩和策の修正に関し、議論が行われる見込みです。2%のインフレ率という日銀の目標達成が絶望的となる中、金融緩和策はさらなる長期化が見込まれます。そうした長期化に伴う副作用(金融機関の収益悪化など)を和らげるべく、長期金利の誘導目標引上げや、上場投資信託(ETF)買入れ額の減額といった方策が議論されそうです。ただ、今回の会合ではいずれも問題提起にとどまり、実際に政策変更が行われるのは今秋以降になるものと予想されます。

米雇用統計(7月) 8月3日(金)午後9時30分発表

6月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は市場予想を上回り、前月比21万3,000人増となる一方、失業率は4.0%と前月より上昇しました。また、今後のインフレ動向を占う上で注目の平均時給は前年比2.7%増と前月と変わらずとなりました。

米国は個人消費を中心に景気拡大が継続しています。職探しをする人が増えており、労働市場におけるスラック(たるみ)はいまだ解消されていません。また、賃金の伸びは低調です。7月の非農業部門就業者数は18万人程度の増加、失業率は3.9%、平均時給は前年比2.7%増程度の予想です。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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