来週の金融市場見通し(2018年7月23日~2018年7月27日)

■来週の見通し

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は議会証言で、米経済の強さを強調した上で緩やかな利上げ継続の方針を示し、市場に安心感が広がりました。ただ、トランプ大統領は、「金利を引き上げており、好ましくない」と水を差した格好。来週は、米国の自動車の輸入制限をめぐる不透明感が重しになりそうです。米国の4~6月期の実質国内総生産(GDP)、本格化する企業決算も確認したいところです。

◆株価 : 方向感の乏しい展開に

日本株は、米国などの堅調な実体経済に支えられる一方、世界的な貿易摩擦懸念に上値を抑えられそうです。米国の4-6月期企業決算は総じて好調な結果が予想されるものの、期待水準が高いため、それを下回った場合には失望が広がるリスクもあります。また通商問題については、米中間の摩擦と並び、自動車関税をめぐる米欧の対立も注視する必要があります。これらを背景に、日経平均株価は当面、方向感の乏しい展開が見込まれます。

◆長期金利 : 低位横ばい

日銀が国債買入れオペで、「10年超25年以下」、「25年超」のオファー金額をそれぞれ100億円減額しましたが、長期金利は低下する動きになるなど、需給はしっかり。週末には米国の通商政策への警戒などから、投資家のリスク回避姿勢が強まり、0.03%まで低下しました。日銀が巨額の国債買入れを継続しており、200億円程度の減額では動かない状況。米金利をにらみながらも、低位のレンジでの動きが続きそうです。

◆為替 : ドル底堅いながらもレンジ内の動き

ドル円は来週も米国景気の堅調な推移や米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測を背景に、底堅い展開を想定しています。米国株が相対的に堅調で、ドル高元安傾向が継続する中、引き続き円も対ドルで下落しやすい状況です。一方、米国の保護貿易政策を巡り米中関係は悪化していると見られ、今後の展開は予断を許しません。113円レベルは本邦輸出企業のドル売り注文が集中しており、ドルの上値を抑えることになるでしょう。

◆Jリート : 上昇余地を探る

Jリートは、週前半は株式市場が上昇し投資家心理が改善したことからしっかりの動き。一旦売りに押されたものの、週末は人民元安を受けて米中の貿易摩擦への懸念が高まり株価が下落する一方、長期金利の低下などを受け、堅調な動きになりました。長期金利が低位で推移する中、貿易摩擦などの影響を受けにくいことは安心材料。予想分配金利回りも4%を若干超える水準。利益確定売りに押されながら、上昇余地を探る展開になりそうです。

来週の注目点

全国スーパー売上高(6月) 7月24日(火)午後2時発表

日本チェーンストア協会によれば、5月の全国スーパー売上高(既存店ベース)は前年比2.3%減と、3か月連続でマイナスとなりました。6月についても、マイナス基調が確認される見込みです。

最近は、販売額の約66%を構成する食料品の売上げが停滞しているほか、衣料品(構成比約8%)の売上げ減が目立ちます。これらを天候不順で説明するのは困難であり、所得の伸び悩みが消費低迷の主因とみられます。

ユーロ圏製造業PMI(7月) 7月24日(火)午後5時発表

6月のマークイットユーロ圏総合PMIは54.9と市場予想を上回り、今年1月以降初めて上昇しました。しかし今回の改善はサービス業部門にけん引されたものです。製造業PMIは54.9と先月の55.5から悪化し、2017年初頭レベルまで低下しました。

今年に入ってからの製造業PMIの悪化は、一時的なものとする見方がある一方、ここのところ生産の伸びが減速するとともに輸出向け新規受注の増加幅が低水準となっています。域外需要の縮小が原因と見られますが、サービス業の拡大、製造業の減速が次第に傾向となりつつあります。7月は総合、製造業とも55.0程度の結果を想定しています。

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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