来週の金融市場見通し(2018年7月16日~2018年7月20日)

■来週の見通し

トランプ米政権が公表した中国からの輸入品2,000億ドル相当を対象とする関税リストには、テレビ、衣類、日用品など消費財が入っており、発動された場合の米個人消費への影響が懸念されます。これとは別に、中国の知的財産権侵害に対する関税措置の第二弾160億ドルも残っています。来週は日米中の主要な経済指標に加え、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言も確認したいところです。

◆株価 :  上値を探る展開に

株式市場では現在、貿易摩擦問題から国内外の企業業績へ、焦点が移りつつあります。この点、特に米国における4-6月期の企業決算については、総じて好調な結果が示される見通しです。また、為替市場ではドル高・円安が進んでいます。よって当面の日経平均株価は、上値を探る展開が予想されます。ただ、米国と他国との通商問題に関しては、長期化必至とみられます。そのため日経平均株価は、2万3千円台を前に足踏みしそうです。

◆長期金利 : 上昇圧力も、レンジ継続

米雇用統計で賃金の伸びが予想を下回ったことから、米利上げの加速観測が後退し、米長期金利が低下したものの、国内の金利の反応は限定的。米中貿易摩擦を背景にしたリスク回避の動きが一服し、長期金利は0.04%まで上昇しました。日銀の国債買いオペでオファー額が減額されなかったことは安心材料。ただ、日銀の国債買入れ縮小への警戒はくすぶっており、リスクオン(選好)が継続すると、国内金利にやや上昇圧力が掛かりそうです。

◆為替 : ドル底堅い動き継続か

ドル円は米国景気の堅調な推移や米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測を背景に、底堅い展開を想定しています。米国株が相対的に堅調で、ドル高元安が大きく進む中、円も対ドルで下落し、ドル一人勝ちの様相となっています。しかしトランプ大統領が2,000億ドル規模の対中追加関税リストを発表しており、中国が再度強硬姿勢を示せば米中貿易戦争は泥沼化。ドルの上値を抑えることになるでしょう。

◆Jリート :  下値は堅いか

利益確定売りに押される場面はあったものの、米利上げ観測が後退したことや、米中貿易摩擦への過度な警戒が後退したことに加え、高めの分配金利回りに着目した買いなどから、Jリートは総じて底堅い動きが継続しました。来週は、米中の貿易摩擦の動向をにらみつつ、方向感を探ることになりそうです。分配金利回りは依然として4%を若干上回る水準。良好なオフィス市況が継続する中、下値は堅そうです。

来週の注目点

消費者物価指数(6月、全国) 7月20日(金)午前8時30分発表

全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、5月に前年比プラス0.7%となりました。6月についても、同程度のプラス幅が見込まれます。

日本の物価は緩やかに上昇しているものの、原油高に伴うガソリン代や電気代の上昇が主因です。そのため5月の「コアコアCPI」(生鮮食品及びエネルギーを除く指数)は前年比プラス0.3%と、小幅なプラスにとどまりました。いずれにせよ、日銀の目標である2%の物価上昇率を達成する展望は全く開けない情勢です。よって日銀には、現行の金融緩和策に関し、より丁寧に説明することが求められます。

米小売売上高(6月) 7月16日(月)午後9時30分発表

米国の5月の小売売上高は前月比0.8%増と市場予想を大きく上回り、ここ半年で最大の伸びとなりました。飲食、自動車販売、建設資材など堅調に推移しています。6月は同0.6%程度の増加が見込まれます。

米国では個人消費主導で景気拡大が続いています。先に実施された減税政策で消費者の購買意欲が復活しており、今後も小売売上高の堅調さは継続すると思われます。賃金の伸びはやや鈍い傾向にありますが、実際の減税効果は今後、より顕著になると想定されることから、原油価格の上昇も吸収可能だと考えています。

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