来週の金融市場見通し(2018年7月9日~2018年7月13日)
■来週の見通し
トランプ米政権は6日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を発動し、総額340億ドルの中国製品に25%の関税を課しました。これを受け中国は、同規模の追加関税を発動する方針を示しました。トランプ氏は、残り160億ドル分については今後2週間に発動、また、中国が報復すればさらに2,000億ドル、その次には3,000億ドルの追加措置を準備している模様です。来週もまた、米中の動向に振らされそうです。
◆株価 : 2万2千円台回復か
日経平均株価は下落し、終値で2万2千円を約2か月半ぶりに割り込みました。米中貿易摩擦や中国株の下落が嫌気された格好です。しかし企業業績などに鑑みれば、やや売られ過ぎとみられます。引き続き貿易摩擦が懸念されるものの、世界景気が直ちに落ち込む可能性は低いでしょう。また、投資家の慎重姿勢にもかかわらず、ドル円は底堅さを示しています。よって日経平均は、2万2千円台回復をうかがう展開が見込まれます。
◆長期金利 : こう着した相場が継続
米国の通商問題への懸念から、長期金利は週初0.02%まで低下したものの、低下し過ぎへの警戒も広がり、以降は0.03%を挟んだ動きの乏しい展開になりました。10年国債入札は無難に通過も、翌日4日には業者間で取引が成立せず。長期金利が動かない中、残存年数の長い超長期債の利回りがじりじりと低下する動きに。米政権が制裁関税を発動したことから、長期金利は上昇しにくいものの、低下余地も限られそうです。
◆為替 : 円安地合いもレンジ内の動きに終始
ドル円は、米国景気の堅調な推移や米連邦準備制度理事会(FRB)による段階的な利上げ観測を背景に、基本的にはドルの底堅い展開を想定しています。米政府が7月6日に対中関税措置(課税ベース340億ドル)を発動しました。今後の米中の貿易戦争の展開や米国の保護貿易政策の世界景気への悪影響が懸念されており、リスク回避の円買いが出やすい状況です。引き続き109-112円程度のレンジ内で、方向感を模索する展開が続きそうです。
◆Jリート : 米中警戒も、底堅い動き
東証REIT指数は1,760ポイント台を中心にしたレンジが継続する中、前週比では小幅に上昇しました。米国の中国に対する追加関税の発動が迫る中、安定した分配金利回りが期待できるJリートは底堅い動きに。来週は米国の制裁関税が発動を受けた、中国の動きが気になるところです。ただ、Jリートの分配金利回りは依然として4%を若干上回る水準。海外動向の影響を受けにくいことから、一進一退の中、底堅く推移しそうです。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(6月) 7月9日(月)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断DI(季節調整値)は5月に前月差1.9ポイント低下の47.1となりました。特に家計動向関連が45.2と、消費の伸び悩みを背景に50を大きく下回りました。
6月の調査においても、景況感の全般的な低迷が示される見込みです。消費は依然として弱く、家計関連の景況感が明確に改善する可能性は低いとみられます。また、企業関連についても、原材料高や人手不足などを受け、製造業を中心に弱めの判断が増える見込みです。
米消費者物価指数(6月) 7月12日(木)午後9時30分発表
米国の消費者物価指数(CPI)は5月に総合CPIで前年比2.8%の上昇となり、約6年ぶりの大幅上昇となりました。また、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.2%の上昇となり、市場予想と一致し、前月より加速しました。
米国では個人消費を中心に景気拡大が継続しており、先の税制改革を受けて家計の可処分所得は増加しています。食品やエネルギー価格は上昇傾向にあり、また、低下気味だった新車価格も上昇に転じていることから、6月の総合CPIは前年比2.9%程度、コアCPIは同2.3%程度と更なる上昇を想定しています。
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