来週の金融市場見通し(2018年6月18日~2018年6月22日)
■来週の見通し
米連邦準備制度理事会(FRB)は大方の予想どおり利上げを決定するとともに、政策金利見通しをやや引き上げました。また、欧州中央銀行(ECB)は量的緩和を年内に終了させる方針を示しました。他方、日銀は大規模緩和の維持を決めました。重要なイベントを通過し、来週は内外の主要な経済指標を確認しながら、方向感を探ることになりそうです。引き続き、米国の通商政策には注意が必要です。
◆株価 : 米中貿易摩擦に注意
日経平均株価は、12日の米朝首脳会談をきっかけに地政学リスクが後退するとの見方から買いが優勢になり、一時2万3,000円台まで上昇。トランプ米政権が中国製品に追加関税を発動するとの観測などが上値を抑えましたが、ドル高・円安の進行を受け、底堅い動きが続きました。日銀と欧米との金融政策の方向性の違いが鮮明になる中、円安地合いが継続すると、国内株が押し上げられそうです。ただ、米中の貿易摩擦には注意が必要です。
◆長期金利 :低位もみ合い
長期金利は低位での動きが継続。地政学リスクが後退し、安全資産としての国債を買う動きが後退しましたが、国内債は大きく崩れず。日銀が国債買いオペで残存期間3年超5年以下の買入れ額を3,000億円と、前回から300億円減額しても、長期金利への影響は限定的でした。週末には日銀が金融緩和の継続を決めたことから、長期金利は0.035%まで低下しました。貿易戦争への警戒もくすぶり、長期金利は上昇しにくい状況が続きそうです。
◆為替 :金融政策の方向性の違いからは円安も
ドル円は、地政学リスクが後退し、逃避通貨とされる円は売りが優勢。米中貿易摩擦への警戒感から円は一旦強含んだものの、ECBが利上げに慎重な姿勢を示したことからユーロ売り・ドル買いが強まり、対円でもドル買いが優勢に。また、日銀が大規模緩和の現状維持を決めたこともドル買い・円売り材料。来週は、日銀と欧米の金融政策の方向性の違いからの円売りと、貿易戦争などへの警戒からの円買いとの、綱引きになりそうです。
◆Jリート : 上値を探る
Jリートは、イタリアの政局懸念や北朝鮮情勢への警戒が後退し、投資家心理が改善したことに加え、高い利回りに着目した買いなどから、堅調な地合いが継続しました。日銀が強力な金融緩和の継続を決めたことも安心材料。ただ、下値は堅いものの、東証REIT指数が1,750ポイント前後まで上昇すると、売りに押される展開が継続。予想分配利回りは4%を若干超える水準。底堅い動きの中、上値を探る展開が続きそうです。
■来週の注目点
訪日外国人客数(5月) 6月20日(水)午後4時発表
訪日外国人客数は4月に前年比12.5%増の290.1万人と、単月として過去最高を記録しました。また、今年4月までの累計は1,051.9万人と、過去最速ペースで1,000万人を超えました。航空路線の新規就航などが寄与した模様です。
今後も訪日外国人の増加が見込まれますが、現在は、東アジア(中国・韓国・台湾・香港)からの訪日客が約7割を占めています。そのため、「2020年に訪日客を4,000万人に」との意欲的な政府目標を達成するには、欧米や東南アジアなどからの訪日客も増やす必要があります。
ユーロ圏製造業PMI(6月) 6月22日(金)午後5時発表
5月のマークイットユーロ圏総合PMIは横ばいを見込んでいた市場予想に反して4か月連続で低下し、54.1と18か月ぶりの低水準となりました。同様に製造業PMIも55.5と18か月ぶりの低水準となりました。
足下の低迷は、休暇のタイミング等一時的なものとする見方がある一方、多くは昨年の急成長の反動や過去のユーロ高による域外需要の縮小が原因と見られています。また、イタリアやトルコなどでのリスクが高まる中、製造業の輸出向け受注の伸びも減速しており、6月は総合で54.0、製造業で55.3程度の結果を想定しています。
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