来週の金融市場見通し(2018年6月11日~2018年6月15日)
■来週の見通し
来週は、12日に米朝首脳会談、12-13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、14日に欧州中央銀行(ECB)理事会、14-15日には日銀金融政策決定会合と、重要なイベントが予定されています。FOMCでは政策金利見通し(ドットチャート)、ECB理事会では資産買入れの終了時期、日銀は物価見通しを引き下げるかなどが注目されます。どのイベントも予断を許さず、神経質な動きになりそうです。
◆株価 : 波乱含み
米雇用統計が市場予想を上回ったことや、イタリアの政局不安が後退したことなどを背景に、国内株は木曜日まで4営業日続伸するなど、堅調な動きが継続。ただ、週末は利益確定売りが優勢に。来週は、日米欧の金融政策会合や米朝首脳会談にらみ。どのイベントも予断を許さないだけに、状況によっては荒い展開も。また、8-9日の主要7か国(G7)首脳会議で、貿易摩擦への警戒が高まると、投資家心理が冷やされる可能性があります。
◆長期金利 :内外の金融政策にらみ
長期金利は0.045~0.050%の非常に狭いレンジでの動きが継続しました。10年国債入札は無難な結果で市場は反応薄。欧州中央銀行(ECB)が今月の理事会で資産買入れの縮小について議論するとの観測から、欧米金利が上昇する場面でも、国内金利への影響は限定的でした。日銀は6月と7月の金融政策決定会合で、上がらない物価の動向を集中的に点検すると伝えられています。国内の長期金利は上昇しにくい状況が続きそうです。
◆為替 :神経質な展開
ドル円は、米雇用統計など好調な米経済指標や南欧の政局不安が後退したことに加え、米長期金利の上昇を受け、ドル買い・円売りが優勢になり、110円台まで上昇。ただ、G7サミットを前に、米国と主要国との貿易を巡る対立などが重しになり、一時109円半ばまで下落する動きになりました。FOMCで利上げ見通しが上方修正されるとドル買いが強まる可能性も。ただ、米朝首脳会談も予断を許さず、神経質な展開になりそうです。
◆Jリート : 方向感を探る
国内株が堅調に推移する中、投資家心理が改善し、Jリートは堅調な地合いが継続。ただ、週末はG7サミットを前に、貿易問題を巡る対立への警戒が広がり、利益確定売りが優勢に。5月末の東京都心の空室率は2.68%と0.03ポイント上がったものの、依然として低水準で需給はタイトな状況。3.3平方メートル当たりの平均賃料は約9年ぶりに2万円台に上昇。重要イベントをにらみながらも、底堅い動きが続くとみられます。
■来週の注目点
日銀金融政策決定会合 6月15日(金)午後に結果発表
今回の会合でも政策の現状維持が見込まれます。足元の物価上昇率は0%台と、デフレ(持続的な物価下落)ではないものの、日銀の物価目標(2%)を大きく下回っています。しかし日銀は、4月の金融政策決定会合において、物価目標の達成時期について明確な見通しを示さない姿勢に転じました。日銀は6月、7月の会合で、上がらない物価を点検し、見通しの下方修正を検討するとの観測が広がっていますが、金融政策については現行の緩和政策を粘り強く続けていくとみられます。
米消費者物価指数(5月) 6月12日(火)午後9時30分発表
米国の消費者物価指数(CPI)は4月に総合CPIで前年比2.5%の上昇、食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.1%の上昇となり、総合は市場予想通り、コアは予想を下回りました。
米国では個人消費を中心に景気拡大が継続しており、食品やエネルギーは若干上昇傾向にあります。一方、自動車価格が低下傾向にあります。5月の総合CPIは前年比2.7%程度、コアCPIは同2.2%程度の上昇を想定しています。
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